ニッケイ新聞 2008年12月19日付け
政府の経済活性化計画(PAC)の目玉のマデイラ川発電所建設が資金面でSOSと十八日付フォーリャ紙が報道。
問題の発電所建設予定地はロンドニア州内で、〇七年十二月に入札、〇八年八月に着工許可が出たサントアントニオ発電所と、五月に入札、十一月に環境許可と着工許可が出たジラウ発電所。総工費は各々、一二〇億レアルと九〇億レアル。
サントアントニオ発電所のコンソルシオには、サンタンデール、バニフの二つの銀行が加わっているが、金融危機の影響下の両行は、資金集めのための基金(FIP)創設後、建設計画からの脱退をと願っている。また、最大の資金源である社会経済開発銀行(BNDES)も、総工費の七割融資との前言を撤回し、六割のみ融資と発表。差額は、連邦貯蓄銀行とアマゾナス銀行が負担する。
一方、ジラウ発電所の方は、コンソルシオの一員に銀行はなく、BNDESの融資枠も未確定。
現時点では、ブラジル銀行が資金融資の要との話があるが、同行は、プロジェクト融資に際して、環境や社会的リスクを見定めて評価し、管理することを目的とした「赤道原則」と呼ばれる国際基準採択銀行。十一月二十日フォーリャ紙にも、「検察庁はいつでも(ジラウの)建設工事中止を求め得る状況」とあるように、裁判所で係争中の問題が複数あることが、融資決定の障壁となっている。
また、自由市場向け電力価格の大幅下落や、サントアントニオのダム建設開始後、一一トンもの魚が死んだと報告されたことも問題。
死んだ魚の量が異常に多く、工事担当者には罰金を科すというが、火力発電削減に必須とされる水力発電所が引き起す環境破壊の監視は、国民も責任を負うべきものだ。