ニッケイ新聞 2008年12月23日付け
フランスのサルコジ大統領は二十二日、伯仏防衛協力と国際問題となった金融危機への対処について、ルーラ大統領と話し合うためブラジルを公式訪問と二十二日付けエスタード紙が報じた。仏大統領はバローゾEU議長を始め経済使節団、閣僚、大統領夫人などからなる一行を同伴。公式日程に従い、メイレーレス中央銀行の音頭による第二回伯EU財界会議がフルラン前産業開発相を交えて開催、また伯仏防衛協力その他についても詰めを行う。
ルーラ大統領とサルコジ仏大統領会談の注目点は、両国の防衛協力とブラジルの国連安保理常任理事国入り、バイオ燃料開発のようだ。
会談の議題は、防衛や金融危機、ドーハ・ラウンド、環境、不法移民、国連安保理、核問題、キューバ問題、ブルガリアとルーマニアのEU加盟、弾丸列車など。
会議を有意義なものとするため、仏大統領はベルナル・クチネ外相やヘルヴ・モリン国防相などの仏閣僚を同伴した。また二〇〇九年「ブラジルにおけるフランスの年」の出し物に、伯仏工業専門学校の開校計画もある。
昼食は、ルーラ大統領とサルコジ仏大統領、バローゾ議長の密室会議となった。仏大統領は夜、ヴィーヴォ・リオ劇場で行われた「フランスの年」開幕ショーへ出席する。
伯仏防衛協力は、サンパウロ州サンセバスチオン北隣に軍用造船所を設置することで第一歩を踏み出す。同所の地形は、船舶建造に適している。仏国はブラジルで二〇三五年までに、原潜四隻を建造しブラジル海軍へ引き渡す。
一方、ブラジル政府は、海洋巡視のための潜水艦選定で仏スコルペネ型に決定した。推進はディーゼルと電気兼用で、原子力へ転用可能なルービス式潜水艦。価格は一艘が、技術提供込みで十六億ドル。乗組員三十一人。潜水能力は、深度三百メートルを五十日間潜れるもの。
潜水艦は、フランスの技術指導により国内で建造する。さらにサルコジ仏大統領は、ブラジルで懸案中の核開発計画にも積極参加の意向を示した。原潜転用が可能な潜水艦は、その一環。
他に軍事用重量ヘリ・クーガー五十一機をイタジュバ市のヘリブラスで仏技術指導のもとに製造し、ブラジル空軍へ納入する契約もある。そのためヘリブラスは、二百五十人の専門家と七百五十人の技師を採用する。