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最高裁=外国人政治犯の処遇を検討=亡命基準を09年に判断=外国政府に身柄引渡しも=審理中の請求は466件も

ニッケイ新聞 2008年12月27日付け

 最高裁は二十四日、外国政府から身柄引渡しを要請され、ブラジル亡命を希望する外国人政治犯の処遇について二〇〇九年中に判断を下す意向と二十五日付けエスタード紙が報じた。二〇〇〇年から現在までに、四百六十六人の外国人が身柄引渡しで審理中。最も多いのは、イタリアの七十七人。続いてドイツの七十三人。ポルトガルの四十九人、アルゼンチン四十一人。米国三十一人。ウルグアイ二十八人、その他となっている。
 身柄引渡し要請の理由は、十人十色。ヴェールを使用しなかったため告訴され、イスラム圏からブラジルへ逃亡した女性もいる。その他は、クーデター未遂やテロリスト容疑、未成年虐待。
 最高裁は夏休みの終わる二月、テロリズムや政治犯罪の定義を審理する。ブラジルはいま、軍政時代の犯罪と恩赦で議論百出しているので、微妙な問題でもある。テロ容疑者の身柄引渡しに先立ち、最高裁は全国弁護士協会(OAB)と恩赦について協議をする必要がある。
 外国人政治犯の身柄引渡しリストには、〇九年に判決が迫られているイタリアの左翼運動家ケーザル・バチスチ容疑者やコンドル作戦に参加した亜国の元軍人マノエル・ピアセンチーニ容疑者がいる。
 政治犯擁護委員会(Conare)は十一月、バチスチ容疑者の容認を拒否した。同容疑者はジェンロ法相へ政治犯として受け入れを懇願し、法相の判断待ち。法相が受け入れを拒否するなら、最高裁はイタリア政府の要請通りに身柄を引渡すものと思われる。
 バチスチ容疑者はイタリアから殺人罪で起訴されたが、同容疑者の弁護士グリーンハウフ元下議は政治犯を主張。ブラジルは、政治犯の身柄引渡しをしないことが連邦令に謳われている。
 別件で判断が微妙なのは、亜国の元軍人ピアセンチーニ容疑者。アダウベルト・フェルナンデス氏を一九七六年、連行し消息を絶った事件の容疑者。同容疑者はいま心臓疾患で、最高裁から自宅軟禁を許された。
 身柄引渡しは、連邦補足令への抵触をも審理し手落ちがないか確認する必要があり、国内犯罪だけの判決とは事情が異なる。最高裁は決定を下す前に、外務省や国外の法的機関にも打診をする。最終判断は状況判断が違う複数の国々にまたがることもあり、身柄引渡し決定は複雑だ。