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憲政省=市の政権交代細則を草案==公共業務の円滑継続=証拠を隠滅する地方都市=まだ欠ける引継ぎ文化

ニッケイ新聞 2008年12月30日付け

 憲政省のオラヴォ・N・アウヴェス次官は二十七日、地方自治体の政権交代に関する法令を草案中であると二十九日付けエスタード紙が報じた。全国幾千の市は新旧政権引継ぎの際、進行中の重要事項が記録されたファイルや事務機器の備品、公用車のスペア・タイヤなどが故意に紛失し、次期政権が即時任務を続行するのに支障を来たしている。ブラジルの地方には旧体質の市があり、引継ぎ文化を欠くようだ。
 政権引継ぎで求められる主な書類は、債務明細書や債権明細書、TCU(連邦会計院)への未決済書類、関係企業や団体との協定状況明細、控訴中の書類、職員明細書、対連邦債務明細など。
 ライバル派に政権を奪われた自治体は、前政権時の未決書類の引渡しを拒否することがある。証拠隠滅と疑われる偽装工作なども推測される。このような自治体は対話がなく、市行政の透明性に欠けることが多い。
 ペルナンブッコ州第二の都市ジャボアトン・ド・グアララッペスでは、前政権の引継ぎ報告者が判然としない。不都合な書類を運び出し消却後、引継ぎ代表を決める体たらくであった。
 規定された政権引継ぎの予定表を守らず無意味で役に立たないデータを提出し、形だけの引継ぎ式でお茶を濁す自治体が多い。新市長は自治体引き受けに先立ち、州検査院の立ち入り調査を要請せねばならない。
 連邦政府や州の政権引継ぎは順調であるが、市の政権引継ぎにも規則を設け、自治体の空白期を作らないため議会へ草案を上程する。これまで自治体の引継ぎは、重要事項を故意に連絡欠如するなど不自然であった。
 ブラジルの地方ではマスコミや治安当局の目が届かず、ボスが支配する小都市がまだある。また連邦係官が身の危険を感じ、避けて通るような無法都市もある。
 サンパウロ州政府は市政調査センター(Cepam)を通じて、政権交代による空白防止の指導を行っている。ブラジルには、まだ政権交代の文化がないらしい。Cepamは政争が、怨恨にならないよう努力をしている。
 連邦政府の引継ぎに関する暫定令は二〇〇二年、前政権の終了時に制定された。新政権から五十人の引継ぎ委員が赴き、引渡し業務に携わる。そのための予算八十五万レアルも計上されている。