ニッケイ新聞 2009年1月6日付け
全国で一斉に市長、市議の就任式の行なわれた一日、金融危機下での歳入減少を見込んだ新市長らが、予算の凍結や経費削減を宣言したと、二日付伯字紙が報じた。
具体的な報道は主な州都に限定されているが、十二月中に予算凍結の話が出ていたサンパウロ市では、カサビ市長が、教育、保健衛生、公共交通分野についての予算確保を保証。保育所の不足解消、地下鉄への一〇億レアルの投資、三つの病院建設などを選挙公約としていたカサビ市長にとって当然の処置だが、それ以外の分野では職員の新規採用中止などによる経費削減断行との方針を明らかにし、「金融危機を脱し、先の見通しが立つまで」は経費の削減を継続するという。
一方、市立校での自動進級廃止や、二四時間制の保健所などの公約を掲げていたリオ市のエドゥアルド・ダ・コスタ・パエス新市長は、給与カットも含め、一〇二億レアルの予算中、一五億の経費削減を行うとし、セーザル・マイア前市長離任直前に未完成のまま開所式が行われた、シダーデ・ダ・ムージカ(音楽の町)と呼ばれるホールの工事契約破棄の他、同施設の建設に不正がなかったか否かの調査も命じた。
その他、ポルト・アレグレのジョゼ・フォガッサ市長やベロ・オリゾンテのマルシオ・ラセルダ市長、クリチバ市のベット・リッシャ市長、サルヴァドールのジョアン・エンヒッケ・カルネイロ市長らも人員削減や予算の削減を宣言している。
小さな政府を目指して一七人の局長を一一人に削減し、電話の使用時間制限まで明言したカルネイロ市長とは反対に、サンパウロ市では新しい部局六つが創設されたが、危機下での時局運営の手腕が問われる新市長や新市議達の独断、独走を監視するのは市民の役目。カサビサンパウロ市長が約束した〃ガラス張り〃市政を全市、全国に望みたいものだ。
一方、サンパウロ州では、二年後に任期満了となるセーラ州知事後任者選びでブラジル民主社会党(PSDB)分裂の気配と三日付フォーリャ紙が報道。二日付アゴーラ紙の、カサビサンパウロ市長の支援で民主党(DEM)議員取り込みに成功したサンベルナルドのルイース・マリーニョ市長が、大サンパウロ市圏の取り纏め役にカサビ氏を希望との記事など、今後の政局を占うような発言や動きも出始めている。