ホーム | 日系社会ニュース | デカセギ雇用危機=静岡=県相談窓口に161件=解雇、住居…2割は外国人=浜松は4日間で64世帯も

デカセギ雇用危機=静岡=県相談窓口に161件=解雇、住居…2割は外国人=浜松は4日間で64世帯も

ニッケイ新聞 2009年1月6日付け

 【静岡新聞】静岡県は昨年十二月三十日、急激な景気後退を受け、県内四カ所の県民生活センターと県庁の県民のこえ室に開設した雇用や住宅などに関する緊急相談窓口の受付状況をまとめた。二十九、三十の両日、四センターなどに寄せられた相談は計百六十一件。解雇に伴う住宅困窮や生活資金などに関する相談が目立ち、雇用情勢の悪化を改めて浮き彫りにした。
 百六十一件のうち、三十六件は外国人からの相談。地域別では、全体の五二%が西部のセンターへの相談だった。内容別では、就職に関する相談が四十件で最も多く、生活福祉三十五件、住宅三十二件、労働二十七件と続いた。
 相談内容は、「会社の業績不振で十二月に解雇され、正社員の職を探している」「離職による生活困窮で生活保護を受けたい」など。外国人からは「解雇されたので、家賃の安い住宅に引っ越したい」など住宅関係の相談が多かった。会社経営者から「従業員が離職するので、生活資金などの貸付制度はないか」などの問い合わせもあった。
 仕事納め後の相談窓口開設は、県経済対策連絡会議が二十二日に決めた対策の一環。
   ▽   ▽
 急激な景気後退により職や住居を失った市民の各種相談に一カ所で対応するため浜松市が二十七日から開設していた緊急相談窓口が、三十日で終了した。四日間で窓口を訪れた相談者は計九十五世帯で、このうち外国人が六十四世帯だった。
 市営住宅受付相談のほか、生活相談、子どもの教育相談を行った。生活相談は五十五世帯からあり、十七世帯が生活保護を申請した。
 年明けは五日から各担当課で対応する。一月に住居からの退去を迫られているという相談がすでにあり、同市は一月中旬ごろから追加の対策を実施する方針。
     ◎
 【静岡新聞】景気の急激な悪化に伴う、雇用や生活の相談に対応する県の「緊急相談窓口」が二十九日、県内四カ所の県民生活センターで開設された。製造業関連の就業者が多い西部地域を中心に、電話と来所合わせて九十一件の相談が寄せられた。
 浜松市中区のザザシティ五階の西部県民生活センターでは、二十五組が相談に訪れた。解雇や賃金未払いなど労使間トラブル、県営住宅の入居申請に関する手続きや、生活保護、貸付金の受給などが主。各分野の専門職員が一カ所で相談を受ける〃ワンストップ型〃の応対で、ポルトガル語の通訳も配置し、外国人労働者への説明やアドバイスも行った。
 九月末に自動車部品工場を解雇されたブラジル人の男性(29)は、妻(22)と息子(6つ)と訪れた。現在は妻の派遣先企業の社宅で暮らしているが、一月の退居を迫られているという。男性は「一番心配なのは子供をどうやって養うか。収入も激減し、不安でたまらない」と切実な表情を浮かべた。
 同センターによると、初日に訪れたのは日本人17組、外国人8組。製造業の派遣労働者が目立ったという。
 中部(静岡市)、東部(沼津市)、賀茂(下田市)の各県民生活センターでも相談を受け付けた。業績悪化が理由の解雇や派遣契約打ち切りを通告され、寮の退去を求められた人たちから生活資金や住居に関する相談があり、職員らが公営住宅への入居や離職者支援資金制度などを説明した。