ニッケイ新聞 2009年1月7日付け
サンパウロ州検察局は五日、地下鉄四号線ピニェイロス駅近くの陥没事故で公社役員や幹部職員、請け負い企業の技師ら十三人を業務上過失致死の容疑で告発と六日付けエスタード紙が報じた。事故は〇七年一月十二日、七人の犠牲者を出した。さらに二百三十人が家屋を失った。ピニェイロス裁判所は六日、起訴の是非を決める。業務上過失による陥没で立件されるならば、責任者は一年半以下の禁固刑を科される。
サンパウロ州検察局の告発状は、技術研究所(IPT)の調査に基づいたもので三十六ページからなる。事件当時、地下鉄四号線担当であったファビオ・A・ガンドルフォ役員を始め、十三人の過失責任が記されている。
過失は三点。一、工事手順の誤り。付近はピニェイロス川の沼地で軟弱な上、爆破による振動があった。IPTはその影響を否定しながら、前言を翻した。二、軟弱地盤の補強誤算。軟弱地盤の上にあった岩盤の重圧がかかった。三、リスク管理の欠落。事故現場付近の深度が不適切。
検察局の見方では、責任者全員が職務怠慢または状況軽視で、工事停止を怠った。軟弱地盤での爆破物使用は地崩れを招き、危険な環境での作業であったという。
告発された筆頭のガンドルフォ容疑者は、陥没事故で地下鉄工事から外され、エクアドルのサンフランシスコ発電所へ送られた。そこでもコレイア大統領から任務を解かれ、オデブレヒト建設とエクアドル政府の係争に巻き込まれた。
一方、陥没事故から二年、ダンプの地響きや爆破による振動で、軟弱地盤の上にある住宅の壁はヒビ割れ、塀が歪み、事故現場付近の住民の平和が脅かされ始めた。地下鉄の運行が始まったら、どんな影響を及ぼすのかも気になるところだ。
若い人たちは家を処分して、長年住み慣れた家を出てゆく。地下鉄請け負い企業から、破損家屋を賠償してもらった家族は、子供や孫を連れて近くへ引越して行った。会社負担でホテルに住んだ住民もいる。事故から二年目を迎えようとする現在も、暗い影を地域一帯に落としている。