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貿易収支黒字6年で最低=金融危機表面化後に急落=輸入減少喜ぶ市場関係者も

ニッケイ新聞 2009年1月7日付け

 金融危機が叫ばれ始めた九月半ば以降、輸出減少のブラジルだが、ドル高のあおりで十月以降の輸入も激減し、最終的な貿易収支黒字は前年比三八・二%減の二四七億ドルと三日付伯字紙が報じた。
 この数字は二〇〇三年の二四八億ドル以下で、ルーラ政権での最低額。輸出は二三・二%増の一九七九億四二〇〇万ドル、輸入は四三・六%増の一七三二億七〇〇万ドルで、全世界の輸出平均伸び率二二・六%を上回っているものの、二〇二〇億ドルの輸出目標達成はならず、十一、十二月の輸入減少がなければ、貿易収支黒字額は更に小さくなってはずだ。
 国外の投資家による資金引き上げや国外送金などの動きが続いている中、貿易収支黒字の縮小により、経常収支の赤字は不可避だが、輸出入の落ち込みは十一月、十二月が特に激しく、世界的な金融危機によるコモディティ価格の落ち込みや急激なドル高の影響が顕著に表れたといえる。
 ただ、ブラジルの貿易は一点集中型ではなく、分散型であることで、他の新興国に比べると貿易の縮小幅が小さくて済んだ。
 具体的には、欧州連合(EU)向けの輸出が二三・四%、輸入が二〇・九%、米国は一四・〇%と一四・九%、アジアは一八・九%と二七・二%、メルコスルは一一・〇%と八・六%など。主要輸出品目は、鉄鉱石八・四%、原油六・八%、大豆五・五%、鶏肉二・九%、航空機二・八%などが挙げられる。
 原油の五三・五%を始め、全体で三九%下落したコモディティ価格や、急激なドル高などで、〇八年の貿易収支黒字が目標を六・八%下回ったこともあり、〇九年の目標は掲げられていないが、専門家は、〇九年の貿易収支黒字は、〇八年並みかそれ以下と見ている。
 一方、二日付エスタード紙によれば、ドル高による輸入減少は国内企業の市場復活につながると喜ぶ見方もある。為替の動向や国内経済、外国企業の耐久力にもよるが、既に効果が出ている食料品や飲み物を始め、製紙や鉄鋼、繊維、機械や部品、小型電化製品、玩具などを中心に、輸入品に奪われた市場の一〇~二〇%の回復が見込まれ、企業の増収は三四〇億ドルとの試算も出ている。