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休職攻勢が産業界を席巻=労働省が規制検討=FAT資金の給付制限へ=解雇回避策は焼け石に水

ニッケイ新聞 2009年1月9日付け

 労働省は七日、企業と労働組合の間で従業員の労働契約を一時休止する休職協定が恒常化していることで、労働法の見直しと休職規制を検討と八日付けエスタード紙が報じた。休職協定にはFAT(労働者支援基金)資金の給付が伴うので、協定に規準を設ける考えだ。FAT本来の目的は労働者の技術向上であったが、今は企業の窮地打開策に利用されているとルッピ労相は憂慮した。
 世界不況のため労働市場に休職や集団休暇、操短などが恒常化し、社会的傾向となって阻止できない事態に至ることを労働省は恐れている。
 企業が安易に休職という手段を採らないため、何らかの規制を設ける考えだ。労働組合は雇用関係を保持するだけでも、解雇よりは良いと思っている。情勢が好転すれば、元の職場へ復帰できるからだ。
 従業員は休職期間中、FATの世話になる。不況が長期にわたるなら、FAT資金も底を着くのが見えている。労働法に休職が認められて十年になるが、適用に関する規則が欠落していた。
 休職の適用を決める規準は、企業と従業員代表からなるCodefatによって協議し、FATの資金管理も行う必要がある。労働法を改正する意向はないが、FATの無制限給付もできないと労相が警告した。
 休職に関する新規準は、一月中に上程する予定。企業が休職措置を申請する前に、どの職業学校で技術を習得するか指定することを義務づけるようだ。現在は何も規定がないので、労働者は海水浴や高給をくれる職探しに奔走している。
 現状はFATが、労働者支援ではなく企業支援になっていると労相がいう。フィリップスとルノーが五日、労組に五カ月間の休職合意を打診した。マナウスのホンダとヤマハも、従業員代表と休職の交渉を始めた。
 労働法によれば、休職は労組の合意を得て労働省支部の承認を要す。休職期間中、企業は給料と社会保障制度引当金、FGTS(勤続年限積立金)を免除される。この特典は、企業によって乱用される可能性があると労働省は見ている。
 未曾有の不況を乗り越えるため企業は、全身の知恵を絞っている。多くの企業が、労働者に自宅待機または就労週三日制などを提案した。政府は解雇回避と引き換えに免税や減税を供与したが、企業にとって問題解決には至っていない。