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12月の車両生産が前年比半減=在庫の一時調整で=年間販売台数は世界5位へ=裾野開拓で金融危機突破

ニッケイ新聞 2009年1月10日付け

 〇八年のブラジルの自動車市場規模は初めて世界五位に躍り出たが、金融危機の大波を受けた十二月の生産調整は厳しく、Anfavea(自動車工業協会)は十二月の車両生産が昨年同月比で五四・一%と半減、前月比でも四七・一%減と過去九年間で最低水準となったことを発表と九日付けエスタード紙が報じた。最悪時の十一月三十日現在では過剰な車両在庫は三十万台、五十六日分にも達していた。それでも年全体で見れば、〇八年の販売台数が前年度比で一四・五%増、十二月の販売は前月比で九・四%増であり、生産調整を受けて持ち直してきている状況のようだ。
 ブラジル経済のけん引車とされる自動車生産が、十二月は過去九年間で最低水準というのは、いささか穏やかでない。IBGE(ブラジル地理統計院)は六日、十一月の工業生産が前月比五・二%落ち込んだことを発表したばかりだ。
 ピークを記録した十一月末の過剰在庫だが、翌月末には二十一万台、三十六日分にまで減少し、在庫平均の二十七~二十八日分にだいぶ近づいた。十月から落ち始めていた販売台数は、十一月に底を打ち、上向きになってきている。
 年間の自動車販売台数で見るなら、〇八年は記録を更新し、世界で五番目の市場に成長した。生産では第六番目だ。
 ブラジルは〇八年、二百八十二万台を売り上げ英国やフランス、イタリアを追い抜き、第八位から第五位に躍り出た。
 ブラジルは〇八年上半期、米国と中国、日本、ドイツに次ぐ自動車の有望市場となった。ブラジルの将来は、世界の投資家にとって注目の的。ブラジルの自動車輸出で障害となっているのは、不安定な為替だ。
 十二月の車両生産が半減というが、見方を変えれば明暗二面があると、経済評論家のミング氏はいう。十二月の生産が落ちたのは、集団休暇や操短、休職で生産調整を行ったから。
 明は販売が前月比九・四%増、前年同月比一四・五%増と好調であったこと。同協会が否定面を前面に出したのは、さらなるIPI(工業税)減税とローンの援軍を催促する作戦ではとミンク氏は推測する。
 十、十一月の販売に陰りが見えたのは自動車ローン資金調達の不手際であって、自動車産業の後退ではないという。消費者が不況を見込んで、自動車の購入を見合わせたというのも言い訳に過ぎないと同氏は分析した。
 自動車産業の落ち込みはローン資金の不足ではなく、販売努力の不足という見方もある。現在の自家用車購買層の需要喚起は限界にあるが、新たな購買層開拓に目を向ければ、中国と同じように裾野は広いという。