ニッケイ新聞 2009年1月10日付け
金融危機が表面化したとき、ルーラ大統領は「経済危機はブッシュ政権の問題であって、ブラジルの問題ではない」と国民に向って公言したことで米エンタープラス・シンクタンクが九日、エスタード紙に次のような寄稿を掲載した。
サンパウロ市証券取引所の株価指数は三カ月間に四五%下げ、レアル通貨は二九%も下落。所得格差是正に三十六億レアルを投じ、百億レアルの減税を実施したが、企業の大量解雇は不可避のようだ。
大統領は掛け声だけで、ブラジルの概容を保持できないと認識する必要がある。経済は成長したが、まだ社会構成や政治機構は脆弱。大統領と取り巻き連が、不確定な世界情勢を認識していたら、もっと真剣に税制改革や政治改革に取り組むに違いないと助言。
ブラジルの税制は、ビザンチン時代の遺物。投資家は一月から三月まで所得税申告に煩わされ、仕事に熱中するのは四月から。税制の簡略化が行われたら、ブラジルの中小企業が育ち、多くの雇用を創出し、外国人投資も帰ってくるという。