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GM=大量解雇の緒を切る=ブラジルは経営危機の道場

ニッケイ新聞 2009年1月14日付け

 ついにGMを皮切りに大量解雇旋風が始まったと十三日付けエスタード紙が報じた。先ずサンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス工場の臨時要員七百四十四人が、十二日に解雇された。〇八年九月に始まった金融危機の犠牲者で、〇九年の自動車業界ではパラナ州クリチバ工場で四百三十人を解雇したVolvo社に次ぐ解雇だ。
 同社のピニェイロ副社長は「政府のIPI減税が販売の回復に至らず、現実に沿った措置を採ることになった」と声明を発表した。財務省が自動車産業を応援するためIPI減税を発表して、僅か一カ月後の解雇だ。
 この前例は、自動車業界に留まらず全産業へ伝染すると思われる。食品業界も悲観説を打ち出し、自動車に続くと予想される。新年に入って十五日もたたないうちに解雇が始まるのは、財務省にとって遺憾だ。
 財務省は第2四半期に入れば、事情が好転すると見ている。もう少しの辛抱を期待していた。GMは臨時雇いの工員整理に続いて、本採用組の整理に入る予定。ブラジルの自動車販売が落ち込んだのは、国際的金融危機の影響といえそうだ。
 GMの場合、伯GMが米GM本社を経済支援する役目があるらしい。伯GMは頼りにされる若い長男のようなもので、親に仕送りをする。
 GM本社のフリッツ・ヘンデルソン社長は一九九七年から二〇〇〇年、伯GMの社長を勤めた。いまは米本社が存亡の危機にある。GMは本社も伯支部も、運命共同体のようなもの。
 米GMが溶解するなら、伯GMも運命を共にするらしい。そのために伯GMは、形振り構わず生き延びねばならない。GMの財政体質を保持するため、工員の整理は、労組の執拗な抵抗に関わらず断行されるようだ。
 GMにはブラジル社長が、本社社長に栄転した実績がある。伯GMは一九九八年、販売が三五%落ち込み、経営危機が訪れた。ブラジルは経営ピンチを切り抜ける道場になっており、本社のピンチにも起用されるようだ。