ニッケイ新聞 2009年1月15日付け
毎年新種の鳥が発見され、種類の多さでは世界第二のブラジルで、野鳥観察者は米国の四七七〇万人に比べ、少数派と十二日フォーリャ紙が報じた。
哺乳類の種類が多いアフリカ大陸に対し、南米大陸は、コロンビアの一八六五種、ブラジルの一八二二種、ペルーの一八二〇種のように、鳥の種類の多さで知られている。
十月五日付けエスタード紙によれば、ブラジルの一八二二種という数字は〇七~〇八年発見の一九種を含むが、新種発見や判明、絶滅したと思われていた鳥の生存確認などに大きく貢献しているのが〃バードウォッチャー〃と呼ばれる野鳥観察者。
ブラジル特有の二三二種も含め、一種類でも多くの野鳥観察を望む国外からのバードウォッチャーは年間二〇〇〇人。商用などのついでという人を含めても五〇〇〇人という数字は、ペルーの一万八〇〇〇人に比べ少ない。
この数字は、国内のガイドや観察者が少ないことも反映しているが、英語で〃バードウォッチング〃と呼ばれる野鳥の観察に関する会合(Avistar)参加者は、〇六年の三〇〇〇人から、一万五〇〇〇人、二万五〇〇〇人と年毎に増加。
Avistar運営者達によれば、野鳥観察は種の保存や鳥類学の発展に貢献。絶滅の危機が叫ばれていたアメリカ鷹の再来や、うずらの一種のボブホワイトなど、既知の鳥の減少も、野鳥観察者からの報告により把握されたという。
植物の新種は二日に一種発見され、両生類などの動物生態系も豊かなブラジル。この豊かさは医学の発展などにも寄与しているが、現在の懸念材料は環境破壊による種の減少や絶滅。ダム建設などによる生態系の破壊は進む一方で、絶滅の可能性のある鳥は九%とも。新種発見が続くアマゾン地区に対し、開発、破壊の度合いが高いセラードや大西洋岸森林地帯などでの種の減少が報告されているのも気掛かりだ。