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17企業代表=労働時間短縮と減俸提案=危機突破で苦肉の策=CUTは雇用の保証強要=労相「企業経営者の策略」

ニッケイ新聞 2009年1月16日付け

 大手企業十七社の代表は十四日、Fiesp(サンパウロ州工業連盟)に集まり、従業員に労働時間の短縮と減俸を提案する意向を決定と十五日付けエスタード紙が報じた。また、同大手企業は従業員二十五万人を抱える大所帯だが、政府懸案の雇用の保証は行なわないと表明。労働組合は、企業代表の提案に交渉の意向を示した。しかし、CUT(統一労組)は、傘下労組に属する従業員には、一定期間の雇用保証を強く求めた。
 大手企業はValeやFiat、Siemens、Telefonica、Embraer、AmBev,Uniparなど。スカフ会長は「かかる情勢下、提案に反対する者は、自らの首を絞めるようなもの」と声明を発表した。
 同連盟は数日前に、フォルサ・シンジカルの支持も取り付けている。同フォルサの傘下には六百十二労組、計四百八十万人の労働者が属している。
 まだ提案の段階であるが、大量の一斉解雇を回避する手段を示唆したもの。社会不安をかもし出すようなマスコミ報道を警戒している。
 提案は近日の一斉解雇はないというもので、その後どうなるかは一切不明。CUTは雇用の保証を強要するが、交渉はCUTを疎外する可能性もあると通告した。企業代表は、不透明なブラジル経済の見通しと産業ストレスで一様に緊張。
 スカフ会長は、ルッピ労働相の自動車産業に習えとする発言を一蹴。自動車はIPI(工業税)減税により公的資金の投入庇護を受けた分野である。産業全体に、そのような恩典を期待できる道理がないという。
 ルッピ労働相の見方では、十二月に噂された解雇旋風が泡沫であり、三月に霧消すると見ている。企業家が大量解雇をほのめかすのは、政府の支援を引き出すための脅迫だとしている。労働相は、そんな策略にごまかされないと述べた。
 労働省の統計によれば、企業は十二、一、二月に人員整理を行い、三月に採用と見ている。国内消費市場は健在で、二月まで干潮だが、三月は満潮が始まる。干潮に解雇し、満潮で採用すると経費高になる。それで解雇の代わりに減俸や時間短縮でお茶を濁す経営の知恵だという。
 ルーラ大統領は、「解雇に懲罰」の労相発言を深入りと注意した。政府の立場として、労使の喧嘩仲裁は避けたほうが得策と見ている。ブラジルは資本主義の国で、政府は企業経営に強制も放任もしない。政府は生産を奨励するが、生産法にはタッチしないという。