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日本経団連から自然保護視察団=ブラジル、パ国を初訪問=チエテ公園に「経団連の森」

ニッケイ新聞 2009年1月21日付け

 日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)の南米自然保護プロジェクト視察ミッションが十四日に来伯した。ブラジルとパラグアイで実施され、同協議会が支援している自然保護活動の現場視察が目的。ブラジルではサンパウロ州・市の環境部局担当者などとも意見を交わし、十七日午前にはチエテ環境公園の「日伯・友情の森」で記念植樹も行なった。大久保会長を団長とした一行十人が十六日夜、サンパウロ市のニッケイパラセ・ホテルで会見し、同協議会の活動、ブラジル訪問の感想などを語った。
 同協議会は一九九二年のリオ地球環境サミットに経団連として参加したことをきっかけに設立。各企業より寄付を募り、自然保護活動に携わるNGO団体への支援活動を続けている。
 設立から十六年間で、日本国内や東南アジアなどを中心に約八百の自然保護プロジェクトへ計約二十四億円の支援を実施している。ブラジルへの支援は今回が初めてで、視察団の派遣も初。
 今回ブラジルでの「大サンパウロ市圏環境保護三年計画」、パラグアイでの「イグアス移住地入植五十周年に向けた植林活動と環境教育」の二プロジェクトに、それぞれ六百万円、三百十万円を支援している。
 ブラジルへの支援は百周年の節目を機に、一年前に決定したもの。同計画は、ブラジル・ニッポン移住者協会、オイスカ・ブラジル総局、ABJICA、花の杜(モジ市イタペチ地区)の四団体によるもので、移住者協会とオイスカが共催し十万本の木を植える「日伯・友情の森づくり」もその一つ。
 支援は専門家の審査を受けて決定されるが、会見した大久保団長は、「〃移民が開拓で切った木を植林して返す〃という趣旨に共感した」と、同計画を評価した。
 ミッションの一行は十五日に日系団体、ブラジル日本商工会議所の関係者と懇談。十六日には州立森林院の見学、サンパウロ州・市の環境部局担当者との意見交換を行なった。
 森林院訪問について団長は、ブラジルの多様な植物相について触れ、「自然自体の勢いを感じた」と述べ、「環境問題の中でブラジルが果たす役割に強い共感を覚えた。ブラジルの自然と向かい合うスタンスから学んで行きたい」と感想を語った。
 州・市の関係者との意見交換では、これからも様々な形で協力していきたいという話があったという。史料館訪問では、「皆さんが現在まで頑張ってきた歴史の重みを感じ、一同感銘を受けた」と語った。
 経済危機の影響については、企業からの寄付が集まるか心配としながらも、「九二年以来日本経済が上下する中をくぐり抜けてきた。地球の将来のための息の長い活動。短期的な問題にとらわれず続けたい」と発言。
 植林後の維持について質問が及ぶと、「後の世話と持続はたいへんな課題」との見方を示した。一方、維持への支援の可能性については、三年で植林が終了した後に改めて申請があれば検討するとの考えを語った。
 団長はまた、二〇一〇年には「生物多様性条約第十回締約国会議」(COP10)が日本で開かれることから、「世界の生物多様性をどう守るか、総括したい」と意気込みを表した。
 会見後は同所で歓迎会が開かれ、先日着任した大部一秋在聖総領事、日系団体代表など約六十人が訪れた。
 「友情の森」の敷地内には、大口の支援者などの名前を関した区画が作られ、植樹が行なわれている。同協議会からの支援を受け、海岸山脈の樹木百種以上を植える「経団連の森」も作られる計画。翌十七日に関係者が記念植樹を行なった。
 一行はその後パラグアイに向かい、イグアス移住地が二〇一一年の入植五十周年に向けて〇六年から行なっている農地の水不足改善に向けた植林と環境教育の現場などを視察した。