ニッケイ新聞 2009年1月24日付け
リンカーンが奴隷解放宣言してから146年―。あの白人優越の国・アメリカにケニア人を父とする大統領が誕生した。首都ワシントンの就任式は厳しい寒さの中で行われたが、オバマ人気は高い。ある新聞はアメリカに熱気と緊迫の見出しを使ったし、黒人の新大統領をひと目でもと200万人を超すフアンが集まり、寒気をも吹き飛ばした▼大統領専用リムジンの登録番号は「USA1」。就任演説の後、この車に乗り小さな星条旗を振り歓呼の声を受けながらパレードに移り、黒い外套のオバマ氏に並び黄色のコートを着て手を振るミシェル夫人に歓声が上がる。この国で黄色は「希望」「幸福」などを象徴する。式典では伝統的に赤や白の衣装を身に付けるそうだが、この黄色はオバマ流「変革」を意味したのだろう▼と、華やかで賑やかな祭典ぶりを述べたけれども、警備も極めて厳しい。警察官が8000人、陸軍が3万2000人も動員され不測の事態に備えた。これほどの厳戒態勢は珍しく、ゲーツ国防長官も式典は欠席し某所で陣頭指揮の激務を果たし、黒子に徹したのは、任務とはいいながらーやはり凄い▼まあ、新しい専用リムジンもこれまでに倍して狙撃があっても大丈夫なように防禦に力を入れており要人の警戒も強化している。あの就任式の警備には150億円とかの予算が投じられたと報じられているが、逆に言えばーアメリカの社会には、いろんな危険とテロや銃撃などの不安がいっぱいある。これも新大統領の「変革」と「対話路線」で安全な国・アメリカを期待したい。 (遯)