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コモディティ市場=大豆相場に好転の兆し=干ばつと需要増で=中国は在庫確保へ先手=中西部の生産者に朗報か

ニッケイ新聞 2009年1月28日付け

 パラナ州のアジェンシア・ルラルは二十六日、コモディティ市場の大豆相場に、南米地域の干ばつとアジア地域の需要増加、ドル高の三拍子による好転の兆しがあると発表したことを二十七日付けフォーリャ紙が報じた。生産者は金融恐慌の影響で意気消沈の中、大豆の播き付けを行った。それが今、食糧生産の背景に異常気象と干ばつによる減産という新しい課題が提起された。ブラジルでは生産者のたゆまぬ努力が、報われそうだ。
 商社が青田買いを中止したため、生産物の先売りもできなかった。大豆相場は、収穫を前に全く未知数であった。それが市場に好転の兆候が見えたため、商社が一斉に動き出した。
 今回の播き付け期は金融恐慌による心理的衝撃が大きく、生産者は何の希望も期待できないときであった。営農資金の融資は閉ざされ、生産原価は暴騰。そんな中大豆の播き付けは、盲目飛行の危険な冒険であった。
 四十日前の昨年末、一俵当たり原価割れの十一ドルで低迷していた大豆は現在、中央西部で二十ドルに高騰、ドル高のオマケまで付いている。それに生産性もヘクタール当たり五十七俵へ飛躍し、間もなく六十俵に達する見込みだ。
 相場の高騰と生産性は、生産者所得の保証といえる。現在の大豆相場で麻州リオ・ヴェルデ地方の大豆生産純益は、ヘクタール当たり七百七十レアルとされる。
 干ばつは、ブラジルの南部地方やアルゼンチン、パラグアイと広範囲にわたり、損害は千二百万トンに達する見込みだ。それに中国の大豆需要が、大豆相場の高騰に拍車をかけた。
 農産物の大輸出国である米国は、トウモロコシに力を入れ、大豆を忘れたようだ。世界の大豆生産状況を懸念した中国は、在庫の確保に先手を打った。食糧在庫の背景変化は、よい時に起きた。
 ブラジル国内では南部の干ばつによる被害が、中西部に朗報をもたらした。中西部の生産者は、青菜に塩から俄然血色が良くなった。この背景変化は、収穫が終わる四月末まで続く。
 生産者は生産資材をドル建てで購入したので、大豆相場の好転で有頂天になってはならない。金融危機が本格化したころ、生産者は動転し原価管理と生産性管理に冷静さを失った者がいる。
 異常気象がもたらす干ばつでパラグアイやアルゼンチンでは、かんがい農業が話題になっている。さらに異常気象が世界各地に干ばつをもたらすことも、これからの食糧問題で新しい課題となりそうだ。