ニッケイ新聞 2009年1月28日付け
サンパウロ市が四五五回目の創立記念日を祝った一月二十五日、サンパウロ総合大学(USP)は、アルファ劇場での演奏会で開学七五周年記念行事の幕を切って落とした。
二十五日付エスタード紙によると、一九三四年一月二十五日に哲学、文学、医学など、既存の単科大学や研究機関統合の上、新分野を加えて生まれた総合大学がUSP。
高等教育改善を訴え運営委員ともなったジャーナリストのジューリオ・デ・メスキッタ・フィーリョ氏らは、著名で大成した学者より新進気鋭の若手を教授陣に迎えよとの助言に従い、仏、葡、独、伊各国の若手教授を迎えて開学。一九三七年の第一回卒業式では、同氏が「教育とは知識の受売りではなく、教育者自身の成長にも寄与するもの」で、「高等教育機関は、科学の進歩と研究者の育成、指導のためにある」と訴えたともいう。
以後、四四年の大学都市建設開始など、常に学術研究の最先端にあったUSPは、七〇年の大学院開設以来、研究機関としてより一層発展する。
研究成果や規模でラ米一、世界の優良大学二〇〇にも入るUSPでは、国家科学技術開発審議会登録の研究班一八三九(二位のカンピーナス大学が八二二)など、研究活動が盛んで、毎年二万人余りの博士を輩出。国内の研究発表の四分の一はUSP関係者による。
この点については、〇三~〇七年の教授一人あたりの論文発表は六・九から四・八に減り、USPの研究活動は停滞と二十五日付フォーリャ紙。
スエリー・ヴィエラ学長は同時期の国外発表論文は五五%増えたと反論しているが、同時期の大学生二一・六%、大学院生四・六%、教授九・七%の増加に対し、予算は同じで実質的研究費削減との声の他、論文発表には分野毎のばらつきも大きく、新設学部での研究活動進展には時間もかかるとの声もある。
課題の一つは、〇五年入試から公立高校卒業生へのボーナス制を導入、その率も上げているにも拘らず、公立高校卒業生が二割しかいないこと。現状改善と幼少時から学術研究に興味を持たせる目的で、七月には四~八年生対象のキャンパス訪問も計画中だという。