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文協評議員選=小川氏が国士舘で説明会=サンロッケ=改革と地方重視を旗印に=「みんなの声で文協変えて」

ニッケイ新聞 2009年1月28日付け

 「文協の評議員に立候補を」。四月に行われるブラジル日本文化福祉協会の理事会選挙を視野に、小川彰夫さん(二世)はサンパウロ州サンロッケ市の国士舘スポーツセンターにマレット・ゴルフ愛好会(古川信夫会長)を訪ねて説明会を行ってそう呼びかけ、文協を良くするために何が出来るかを話し合った。
 約四十人の戦後移民らが集まり、静かに小川さんの話を聞いた後、活発に意見交換が行われた。
 小川さんは「チェインジ(改革)」を旗印に、地方とのつながりを強める方向性を打ち出している。
 会議の中で、「みなさんの声で文協を変えてください」と呼びかけ、小川さんは「ブラジル人は百周年で僕たちをすごくよく見てくれた。それに応えられるように変えていかないと」との想いを語った。
 それに対し、選挙制度に関する質問や、文協に対する不満や期待がいろいろ出された。
 「今の評議員はサンパウロのお偉方ばかりで、地方の代弁者がいない」「サンパウロの文協は百周年協会に任せっきりで何にもやらなかった。あれで代表団体といえるのか」などと現体制に対する厳しい意見も聞かれた。
 同市在住の山田充伸さんはニッケイ新聞の取材に対し、「文協は地方と離れてきている。文協の体質を変えなくては」とのべた。また黒木慧さんも「百周年では地方が力をつけてきた。リベイラ沿岸、聖南西、モジなどみんなそうだ。でも、今の文協はそんな地方との関係が少ない」という。
 特別に出席した、聖南西文化体育連盟の会長に前週就任したばかりのレジストロ在住の山村敏明さんも、「移民は地方から始まった。縦の関係でなく、横のパイプを太くする形で、これからは地方を大事にしてほしい。その点、小川さんは地方とのつながりを重視している」とのべた。
 同愛好会や近隣在住者が中心になって二年前に、文協に対して「運営権の譲渡」を申し出て、評議員会で蹴られた苦い経緯がある。ただし、文協内では、毎年六万レアル程度の赤字がでる同センターは「お荷物」的な存在との認識が理事会の一部にある。
 経営黒字化するために高齢者向けコンドミニオにする案や、移民史料館を独立法人化する際に売却して安定運営するための基金の呼び水にするなどの案が検討されているが、あくまで試行錯誤の域をでない話となっている。
 そのような流れの中でマレット・ゴルフ側としては、「このまま続けられるかどうか分からない。評議員になって発言権を強める必要があるのではないか」との危機感が生まれている。
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 理事会選挙で文協会長が入れかわる今年、その前段階として三月末の評議員選挙が当面の課題となる。というのも、四月に理事会選挙で投票できるのは、評議員だけだからだ。
 三月末の評議員選挙では、会員の投票によって半数の五十人が入れかわる。つまり、会員が選ぶことが出来るのは評議員だけで、評議員が理事会を選ぶという代理選挙の形に二年前に改正された。
 言い方を変えれば、「どれだけ自分の支持者を評議員に送り込んだか」で誰が会長になるかが決まる。現評議員の大半は二年前に選ばれた現体制支持者が占めると言われる中、新風を吹き込むのは誰かが焦点になっている。
 その候補者と目される一人が、実現すれば出馬三度目となる小川さんだ。文協理事会で副会長と国士舘センター担当理事などを四年間務めた。