ニッケイ新聞 2009年1月30日付け
連邦政府は二十八日、生活扶助金(ボウサ・ファミリア)の付与対象となる個人所得を百二十レアルから百三十七レアルへ引き上げると発表したことを二十九日付けエスタード紙が報じた。これで現在、生活扶助金を享受している千百十万世帯に加え、新たに百八十万世帯が扶助対象となる。同改定案は北東と北部十七州知事が地域格差是正のため提案したもの。野党は大統領選への支持票買収工作と非難した。これで生活扶助金予算は、年間十八億レアルの増額となる見込み。
税収激減が予想されるため〇九年度予算から三百七十億レアルを削減した直後、予算増額と制度改定を行った。四人家族の世帯であれば、月間所得五百四十八レアルまでが、生活扶助対象となる。従って今回の改定による扶助対象は、極貧家庭ではなさそうだ。
PT(労働者党)の選挙地盤である北東と北部の州知事は、同改定案が来る二年で、社会格差の是正に効を奏すると大統領へ賛辞を送った。乳児の死亡率低減や文盲撲滅、生活水準向上に挑む十七州の知事は、二〇一〇年までに同案の成果が挙がると見ている。
PNAD(全国家庭調査)によれば、ブラジル国民の生活水準は向上したものの、北東や北部地方が最下位にあることは変わりがない。それで大統領は北東と北部十七州知事と九閣僚を集め、改善策を協議した。
第一目標は、乳児の死亡率を毎年五%減らす。〇七年は全国平均で乳児千人のうち一九・三人が死亡。それが北東部は二七・二人、北部は二一・七人。半数は、僅か二十七日で人生を終えた。
次は教育。来る二年は、〇八年でできなかったことを実行。法定アマゾン地域で学齢期の児童五十二万人が未就学。北東部が三十九万人、バイア州だけでも十二万人。これは小学校教師不足の反映でもあり、教師養成の速成講座が必要だ。
第三が出生届。北東や北部では、出生した子供の三五%が未届けで身分証明書を持っていない。政府は数々の政策を実施し通告をするが、三〇%の住民はその内容を理解できず、蚊帳の外に置かれている。
北東や北部の四百郡には役場や学校などの公的機関が全くない。それで産院または助産婦が、仮出生届けを作成する予定。
第四に、活動を中止しているPronaf(農家強化計画)の同地方における営農や技術の指導活動に、一層の活躍を望むと知事らが要求した。