ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

10%増の08年度臓器移植=心臓と肝臓が大きな伸び=地域偏重改善と啓蒙が課題

ニッケイ新聞 2009年2月3日付け

 家族の決断が人の命を救い、生活の質を大きく向上させ得る。その一例である臓器移植手術は、〇八年は〇七年より約一〇%多い一万九一二五件実施と一月三〇日伯字紙が報じた。
 具体的には、心臓移植は一五九件が二〇五件と二九%増、肝臓移植も九七一件が一一一〇件と一四%増。一方、すい臓移植は七八件から四三件に減少している。
 これらの結果を左右するのは、臓器提供者の有無。三十一日エスタード紙によれば、〇八年の臓器提供者は一三一七人で七・二人/一〇〇万人。〇七年比では一五%増だが、〇五~〇六年の減少を受け、提供率は一二三二人で一〇〇万人当り七・三人の〇四年並み。
 〇七年からの臓器提供率回復は啓蒙キャンペーンと、臓器の受け入れ、登録機関増加が原因。ブラジル臓器移植協会(ABTO)は、〇八年十月にサンパウロ州サントアンドレーで起きた人質事件の犠牲者エロアーさんの家族が臓器提供を承諾し、七人が臓器移植手術を受けた影響も大きいという。
 事件後の臓器提供は全国で五一%増えたというが、現実には、心臓が動いている体からの臓器摘出への抵抗も大きく、脳死判定段階での臓器提供の決断は容易ではない。
 また、国内で肺移植が出来るのは、ミナス、南大河、リオ、サンパウロ州の四州のみなど、医師や医療機関の偏りの問題もある。
 一方、エロアーさんの腎臓とすい臓を移植された二五歳のエメルソン・ジェンチウ・ダルディスさんが、食事制限もなくなり仕事にも戻ることが出来ると喜んでいるとの〇八年十二月二十一日アゴーラ紙の報道の他、歩くことも出来なかったのに通常の生活が出来るようになり、結婚の夢が叶ったという人もいる。 移植後も定期的な診察を受け経過のチェックと薬の調整が欠かせない、薬の副作用で体重増加や高血圧などに悩むなど、移植が即全面解決ではないが、世界では臓器移植は国内調達臓器に制限との動きもある中、臓器待ちの五万八六三四人始め更に多くの人の命を救い、生活の質を向上させるためにも、医師養成や医療機関充実、啓蒙、術後のケアなどの課題の早期克服が待たれている。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button