ニッケイ新聞 2009年2月4日付け
PMDB(ブラジル民主運動党)は二日、上院にジョゼ・サルネイ議長、下院にミッシェル・テメル議長が選ばれ、議会を采配することになったと三日付けエスタード紙が報じた。上院議長には与党PT(労働者党)からチオン・ヴィアナ上議が意欲を燃やして出馬したが敗れ、サルネイ氏が議長に決まった。議会がPMDB一色に塗りつぶされたことで、ルーラ大統領の後継選出でPMDBの指図を受けることになるとPT内でも不満の声が上がっている。
上下両院の議長席をPMDBへ譲るには、プラナウト宮のサインもあった。来る二年間は大統領選の準備で、PMDBの協力を得て元を取る計算があった。PMDBから副大統領を出し、PMDB票をPT候補へ誘導する公算といえそうだ。
上院議長には与党のヴィアナ上議が立候補したので、表立った政府のサルネイ支援を避け、盟友カリェイロ上議(PMDB)にサルネイ上議擁立の根回しをさせた。カリェイロ上議は愛人問題で謹慎中であったが、サルネイ議長の根回し役で返り咲いたようだ。
上下両院議長選の戦果は、与党PTの意向に反するルーラ大統領による作戦の成果という見方が強い。ルーラ二次政権が始まった〇七年一月から、大統領はPT色を退け、ルーラ色を強めた。
上下両院をPMDBに渡すのは、PT議員にとって苦汁だ。次期大統領選のお膳立てを、PMDBに任すようなもの。今日はルーラ大統領を抱きこみ、PMDBが天下を取った気分だが、やりたいようにさせたら終盤で何をやりだすか分からないという不安がある。
PMDBの照準は、次期政権にある。PMDB幹部は、政権獲得の条件と知名度に恵まれながら、長年の太鼓もちに辟易としている。いつかは天下を取り、男の本懐を遂げたいのは悲願だ。
PMDBの弱みは、テメル派とサルネイ派の団結がないこと。両派とも一騎当千の兵を多数かかえ、これを束ねる人物がいない。誰を大統領や副に推すかでつまずく。
PMDBによる上下両院の獲得には、PMDBが十年以上も構想を練ってきた政党と税制改革のための基礎づくりという隠れた目的がある。構想は古い宿願でもあり、忘れかけていたもの。