ニッケイ新聞 2009年2月4日付け
産業開発省は二日、八年にわたって順調に続き財政黒字の牽引になった貿易黒字が、〇九年一月はついに五億千八百万ドルの赤字へ転じたと発表したことを二月三日付けエスタード紙が報じた。
金融危機の影響で政府と産業界、経済関係者が、ブラジル経済へのインパクトを憂慮している。一月の輸出は、九十七億八千万ドル。輸入は百三億ドルであった。
世界的な需要減退と国際競争の熾烈化、各国の保護貿易強化が、二月の輸出を蝕む予想だ。政府は予断を許さぬ国際環境の中、輸出奨励のため新たな減税対策と融資強化を講じる考えだ。
アフリカやラテン・アメリカ諸国の新市場開拓で政府は、経済使節団を次々送り出す。また欧米市場への輸出が激減する反面、順調に伸びているアジア向け輸出が、これからの課題となる。
国際需要の減退を分析すると、目立つのは鉄鋼市場がライバルに浸蝕されていること。国産の鉄鋼製品は、価格と販売戦略で敗れている。一月の鉄鋼輸出は、前年同月比で二二・八%減、前月比で二五・八%減だ。
輸出減退で顕著なのは、自動車。前年同月比でトラックが、六五・七%減。エンジンが六二%減。乗用車が五六・一%減。部品が五〇・六%減の有様。
一方、農産物と鉄鉱石は、価格の好転と市場安定化で窮状を救った。トウモロコシは一五四%増、砂糖は九〇・一%増、大豆粕は四二・九%増、鉄鉱石が一二・一%増であった。
輸出減退は国際的な傾向であるが、コモディティ相場の好転は一縷の望みといえる。また保全などのサービス産業も、新興国で需要好転の兆しがある。広く世界を見れば、金融危機の影響を余り受けなかった国々は、着々と経済成長を続けていると同省が見ている。