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特殊部隊が張り付き包囲=暴動責任者見つけ出すまで=3日目のパライゾポリス

ニッケイ新聞 2009年2月5日付け

 戦争さながらの抗争事件で警官他最低七人負傷のサンパウロ市南部のファヴェーラ・パライゾポリスでは、暴動責任者の特定、逮捕まで包囲作戦を実施と四日付伯字紙が報道。
 三日付各紙によれば、二日夕方の約四〇人による道路封鎖に始まり、一〇カ所でのバリケード構築、三カ所で車の焼き討ちなど、何十年も住む住民が見たことがないほど拡大した抗争鎮圧には、特殊部隊を含む二五〇人の軍警が投入された。
 翌三日はバスの運行や商売も再開。焼き討ち車両の撤去も行われたが、その一方、サンパウロ州保安局は二日以上の三三〇人の軍警と一二四台の警察車両を投入。同地域包囲網を更に強固なものにした。
 保安局によれば、この包囲網は、今回の暴動の責任者特定、逮捕まで継続。四日以降は特殊部隊のみで、三日より少ない二九三人となるが、巡回警護や捜査を容易にするため、二〇頭の馬と四匹の警察犬も導入された。
 テレビでは、大量の車両やバイクの集結、機関銃などを手にした警官配備の様子も報じたが、大量の警官により新たな暴動発生を防ぎ、事件背景解明を行う手法は、飽和作戦と呼ばれるやり方。
 住民らは、暴動開始前に扉を閉めるよう指示があり、仲間が殺された報復との宣言を聞いたというが、この仲間は、盗みや強盗で逮捕後に逃亡、麻密売薬組織(PCC=首都第一コマンド)にも関係した二五歳の男性と見られている。男性は一日、PCC地区リーダー逮捕後に同ファヴェーラ内で権力を振るい始めた警官二人を含む勢力との撃ち合いで死亡した。
 また、その直後、現場付近で銃器不法所持で逮捕された男性は、州内陸部で収監中のPCC地区リーダーの義弟にあたり、報復のための暴動指示が監獄から出たとの見方もある。
 ただし、ファヴェーラへの軍警駐留は麻薬取引の妨げにもなり、今回の暴動はPCCの下っ端が先導との見方も強い。
 いずれにせよ、モルンビー地区の高級住宅に囲まれた、市内第二の規模のファヴェーラでの暴動が内外に与えた衝撃は大きく、経済活性化計画(PAC)による市街化計画進行にも影響を与えかねない。
 平安な生活を取り戻すことが出来、麻薬常用者減少につながる飽和作戦の展開を、同地区八万人の一般住民は待ち望んでいる。

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