ニッケイ新聞 2009年2月6日付け
Dieese(労組調査部)は四日、これまでのインフレ率を上回る昇給サイクルが恐慌の影響で変化すると通告したことを五日付けフォーリャ紙が報じた。恐慌が表面化した十一月、企業が提示した給与調整は一%、〇八年のインフレ率六・四八%をはるかに下回るものだ。〇九年もインフレと同率調整か下回ることで、実収は後退を余儀なくされると予測。企業は恐慌に勤労所得の低下と雇用不安が伴うのは、通弊であると警告した。
五年間続いたインフレ・プラス・アルファの実収と生活向上を確保する労使交渉は、事実上終焉すると労組が通告した。〇七年のインフレ・プラス八七・七%の調整が最高で、これからは語り草になる。
労組調査部は〇八年下半期の詳細発表を避けたが、これからの勤労所得はインフレに蝕まれ、先細りになることを覚悟する必要がありそうだ。
〇四年から始まった勤労所得の増加は、消費市場を育て経済発展の牽引力となったが、減速経済により過去の話となった。労組は調整要求から雇用確保へ、舵を取り直すことになりそうだ。
労組は企業側要求の勤務時間削減や減俸にも応じる意向であったが、それでも間に合わなくなった。昨年十一、十二月の労使交渉は、益々切迫化し話し合いの余地がなくなった。企業側が、交渉を打ち切ったのだ。
企業側は、恐慌により景況が不確定化していることを訴えた。労使交渉は、まず国際情勢を踏まえろという。企業生残りのため、従業員の解雇はやむを得ないとした。このような環境下、昇給は夢だと労組がいう。
サンパウロ州労働局のアフィフ・ドミンゴス長官は、昇給までは行かないまでも、現状維持で雇用の安定を期している。サンパウロ州は七月、「雇用助け合い運動」を打ち出す。失業者に月収三千レアル以下の零細起業を奨める。
応募者は零細企業の合法化手続きを行い、露天商や行商人、サービス業を生業として営む。サンパウロ市には現在、非正規の零細企業家がウルグアイの人口と同数いる。毎月五十レアルを払えば、立派な法人だ。
街頭で商売をする露天商五人のうち三人は、無許可という。RAPA(市監督官)の目を盗んで、キョロキョロしなくてもよい。疑問の点は、労働局で尋ねるよう進言している。