ニッケイ新聞 2009年2月7日付け
国税庁サンパウロ州支部は五日、過去五年分の個人所得税申告が、当局の再審査(マーリャ・フィーナ)で留保された納税者への還付金払い戻しを開始と発表したことを六日付けフォーリャ紙が報じた。今回国税庁から払い戻しを受けるのは三千レアル以下の十万通とされ、還付金支払いを近月中に行うと通知した。還付金の金額が五万レアル以上は、まだ審査に手間取る見込み。同庁サンパウロ州支部は昨年、三十七万六千通の所得税申告書を留保した。
国税庁に留保されている所得税申告書は、還付金額ごとに類別され、再審査を受けた後、納税者に払い戻される。国税庁は今後、大口納税者の審査に集中し、小口納税者を解放することで、金融危機の影響を緩和する意向のようだ。
所得税の審査規準が今年変わる。国税庁本庁から幹部がサンパウロ州支部へ指導のため来聖、マーリャ・フィーナの度合いを緩和し本庁の方針を説明する。サンパウロ州の審査基準を全国へ適用する。
先ず納税者の資産受領額と資産提供者の申告額で出入りが合致し、資産の申告漏れがなく、偽造領収書や水増し経費、粉飾行為がなければ、第一次関門通過組とマーリャ・フィーナによる再審査組に分類される。
国税庁は審査官の三〇%を中流所得者に当て、三〇%を高額所得者に充当する考え。課税対象ギリギリの納税者は、審査の手を緩める。国税庁は人件費を節約し、小物より大物を射程に収める方針のようだ。
大物の順位は、還付金が五万レアルと八万レアル、十万レアルとある。所得税申告は出入り額が合致しても、不正の手口は年々周到になっている。申告書に表れない所得は、数々ある。
国税庁は〇七年、金融危機のあおりと小切手税の廃止、個人所得の低下で税収が減った。サンパウロ州だけで二・七三%減だ。しかし、所得税の還付金払い戻しも急ぐ必要がある。納税者は金融危機のため、家中をひっくり返して資金調達に必死。
ところが〇七年下半期、資本市場では思いがけない多額の金融税(IOF)が入った。これは莫大な投機利益を上げた個人や法人がいるということ。金融バブルで得た所得隠しに懸命になっている、投機家や企業が多数ある。国税庁は、ここへ網を投げる考えだ。