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ブラジル被爆者平和協会=在外でも手帳交付可能に=足立担当弁護士が説明会開く

ニッケイ新聞 2009年2月7日付け

 ブラジル被爆者平和協会(森田隆会長、会員百二十三人)は、昨年末に施行された改正被爆者援護法、在外被爆者国家賠償請求訴訟を受け、在外被爆訴訟に関わる足立修一弁護士(50、広島在住)による説明会を一月三十一日午前、サウーデ区の同協会事務所で開いた。二十四人の関係者らが参加した。
 在外被爆者は、一九七四年の旧厚生省衛生局長による『四〇二号通達』で「国外に居住する被爆者は健康管理手当の支給を受けられない」とされてきたが、七八年には日本滞在中のみ支給を受けられると改正された。
 その後、〇二年には「日本国外に居住していても被爆者である」と認定、〇三年には同通達が廃止されたが、〇五年の政令・省令の改正により、「手当の申請はできるが、手帳の申請はできない」状況が続いていた。
 昨年末の改正被爆者援護法により、在外公館を通じて手帳の申請が可能になり、長崎市は今月三日、サンパウロ在住の被爆者の女性による手帳の申請を受け付けている。
 説明会で足立弁護士は以上の経緯を説明、「法改正が進み、手帳の申請も定着してきた」と評価しながら、今後の課題として医療問題を挙げた。
 〇八年度の予算案で年間十三万円の支給額から一万円が引き上げられたことを報告、国から医療の給付を受けることができる原爆症認定の可能性にも触れた。
 「審査基準は厳しい」としながらも、訴訟などによる認定申請により、「ブラジルに指定医療機関を設置する動きとなるのでは」との可能性も示唆した。
 なお、四〇二号通達自体を「在外被爆者が二十九年間、受けるべき権利を剥奪、差別してきた許し難い通達」と断じ、〇八年十月に「在ブラジル被爆者国賠訴訟」を提訴しているが、今年一月に法務省から条件付きの和解の申し入れがあったため、今回の来伯で関連資料の収集も行なった。
 説明会には、手帳の申請を行っていない被爆者も参加、具体的な質問もあり、足立弁護士はそれぞれに丁寧に答えていた。