ニッケイ新聞 2009年2月10日付け
アマゾナス州マナカプル川で七日、同州コアリ市からマナウス市へ向かう双発機が墜落し、乗客四人は助かったが、乗員と乗客二四人が死亡と八~九日付伯字紙が報道。九日付伯字紙は定員超過によるエンジン停止の可能性も指摘している。
事故の発生は、七日午後(一五時または一六時頃)。乗員二人を含む二八人を載せコアリ市を出発したマナウス・ラジオタクシー社Emb―110型機は、マナウス空港管制塔と、エンジントラブルと悪天候のため、コアリ空港に戻りたいと交信直後、連絡を断った。
操縦士は空軍も含め操縦歴二〇年以上のベテランで、機体も万全の状態だったという。生存者によれば、エンジンの一つが停止した一〇~一五分後、機首を下げた状態で強制着陸したという。
事故直後は意識を失っていたという生存者の一人は、気付いた時には、腰の辺りまで浸水していたといい、手探りで後部の非常扉を探し出し開けた。これに気付いた乗客が殺到した非常扉付近では、乗客の焦りで脱出が遅れ、結果的に機体の沈没を早めたともいう。
乗客二六人中、二三人は、同機を借り受けたコアリ市のL Tur社主の誕生パーティーへの招待客。残り三人は、離陸直前に搭乗が許可されたというが、もともとの同機の定員は一九人。
マナウス・ラジオタクシー社では、借り手からは二歳以下の子供八人を含む二三人との連絡を受けており、定員超過はないと弁明したが、生存者証言や現場検証では、二歳以上も含む七人の子供搭乗が確認済み。
専門家は、定員超過や荷物過重によるエンジン停止の可能性は十分で、悪天候のみによる事故ではないと見ている。
一月十六日付エスタード紙がエア・タクシーなどの監査体制強化を伝え、四日付フォーリャ紙が、操縦士資格や機体に問題があって摘発された例がヘリコプターも含め〇八年は一日五件以上と報じていた。空の事故は〇五年以来増加の一途で、今回は、〇七年サンパウロ市のTAM機事故(一九九人死亡)以来、アマゾンでは〇三年のリコ社機事故(三三人死亡)以来の規模の惨劇となった。