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文協選挙=政権を渡すわけにはいかない=渡部氏、余裕見せつつも牽制=小川氏「面白くなってきた」

ニッケイ新聞 2009年2月14日付け

 〃チェンジ文協〃を旗印に会長立候補を表明、選挙活動を行っている小川彰夫氏が聖南西、リベイラ両連合、モジ、カンピーナスなど有力日系団体の支援を受け、着々と地盤を固めている模様だ。相当数のシンパ評議員立候補者を取りまとめているとの情報もあり、「面白くなってきた」と勢いづく。「そういうわけにはいかない」と牽制する上原政権の立役者渡部和夫氏(現評議員会長)だが、組織的に評議員への立候補要請はしていないようだ。文協事務局によれば、現在の評議員選挙立候補申請数は十四日現在、わずか四十弱。来週二十日の締め切りが小川氏にとって、最初の大きなハードルとなりそうだが、勝敗の鍵を握る戦後一世グループの動向も見逃せなくなってきている。

 すでに投票権を持つ四年任期の評議員五十七(六人が永年評議員、渡部氏が七人目)のうち、四割以上が現執行部派、確実に小川派と見られるのは、一割に満たない。
 当選に必要な過半数は五十四票。どれだけの自分の支援者を今回選挙される五十人の評議員に送り込むかが、大きなポイントになる。
 現文協に対抗する立場を取る小川氏の地盤は地方にある。前回の選挙後も多くの週末を地方で過ごし、地道に緊密な関係を結んできた。
 レジストロ文協元会長の山村敏明氏は、リベイラ連合と聖南西文化体育連盟の現会長。前回の小川氏のシャッパにも名を連ね、今回も小川派を明言、遠距離にも関わらず、六回の評議員会に四回出席している。
 渡部氏も「ミナス、ブラジリア、ベレン、マナウスなどの文協に参加を呼びかけている」と話す。サンパウロ近郊は小川氏が優勢と見られるが、「カーニバル明けに立候補者リストが出てからでしょう」と余裕を見せながらも、「新理事会を選ぶのが最後の仕事」と六年続いた〃文協改革路線〃を貫く構えだ。
 しかし、同じく地方文協をシャッパに入れた前回選挙を振り返ると、現執行部五十二票に対し、小川派は十二票に終わっていることから、厳しい戦いになることは間違いない。
 勝敗の鍵を握るのは、三十七票を得た高木ラウル氏を会長候補とした戦後一世グループ(樹の会)だが、高木氏は、「前回で懲りたよ」と出馬意欲はないとしつつも、戦後一世を支援する立場を明らかにしている。
 樹の会メンバーで現文協理事の諸川有朋氏は、「小川氏は旗を振っているだけ。戦後一世と小川氏が組むことはない」と強調、「メンバーから会長候補を出す予定はないが、文協側から合同シャッパの話があれば、受ける可能性もある」。
 前回まで火花を散らしたが、今回戦後一世らは現体制側に与する方向にあると明かす。個人的に五十人近い評議員立候補者を確保しているとも。
 諸川氏に声が掛かっているように、すでに現体制側は、理事会シャッパの人選に入っているようだ。
 次期会長の第一候補とみられる山下譲二氏(副会長)は、「仕事が忙しく、時間がない」とし、すでに名前が挙がっている木多喜八郎(希望の家理事長、文協副会長)、栢野定雄(ニッポンカントリークラブ会長、文協副会長)、大原毅(元文協評議員会長)氏に加え、渡部氏は、吉岡黎明(救済会会長)、松尾治(百周年協会執行委員長)両氏の名前も挙げる。
 しかし、「どの候補も文協会長としては弱い」との声が根強く、満を持しての自らの登場を渡部氏は完全否定する。定款上や本人の意思からも上原氏再選はもはやない。
 今回も混迷すると見られる文協選挙の行方だが、各派の異口同音に従い、評議員立候補申請締め切り日である二十日を待ちたい。