妊娠は嘘と検査で判明=スイス国内から一斉反発=去就注目されるパウラさん
ニッケイ新聞 2009年2月17日付け
【既報関連】十三日、十四日付本紙既報の、スイスのデューベンドルフ在住のブラジル人弁護士パウラ・オリヴェイラさんへの暴行事件は、思いがけぬ展開となり、スイスメディアなどが一斉にブラジル攻撃。ブラジル外務省なども態度を変化、と十四~十六日付伯字紙が報じた。
事の発端は、九日夜にネオナチらしき三人組からの暴行後、流産も起きたというパウラさん自身の訴えで、外国人排斥による被害と判断した外務省は十二日に駐伯スイス公使を呼び、説明と迅速な対処を求めた。
他方、現地ブラジル領事も当局と連絡をとり合っていたが、十三日の、事件当時妊娠の事実はなかったとの検査結果公表後、事態が大きく変化した。
スイス警察では事件当初から自作自演の狂言劇と見ていたが、この検査結果以外にも、傷は左右対称で浅く、本人の手が届く範囲内、目撃者不在などの疑問点の再提示により、供述は虚偽との見方が一段と強まった。
これに勢いを得たのはスイスの政治家やメディア。SVPの頭文字が刻まれていたスイス国民党は「党員が事件に関与との疑惑は晴れた」とし、捜査費用は本人が負担すべきと発言するなど、ブラジル政府やメディアが強い調子で同国の外国人排斥や人種差別と訴えたことへの疑問、反発も噴出。
ブラジルでは結婚を迫るために妊娠したと言うことが多く、国民の七二%が外国人流入を嫌がるブラジルこそ外国人排斥国家との批判も出た。今件で両国関係や欧州のブラジル人の立場が悪化し、人種差別や外国人排斥問題にも悪影響との声も出ている。
これらの流れで、「娘の供述には全幅の信頼」としていた父親も、「娘はブラジルへ連れ帰り、再検査で医師の診断が誤りであることを立証する」と発言に変化。外務省も、当局の捜査完了前に一家が同国を離れた方がよいと考えている。
狂言であることが確定すれば、罰金、逮捕の可能性もあるパウラさんだが、警察当局は彼女の精神治療の必要も説くなど、背景は複雑な様子。エスタード紙が既婚と報じた相手の男性はまだ婚約中らしいが、身の危険を覚えた男性はチューリッヒを離れ、報道機関との接触も断っている。