ニッケイ新聞 2009年2月17日付け
ベネズエラのチャベス大統領は十五日、大統領再選を無限に可能とする国民投票で九四・二%の開票が終わった時点、五四・三六%を獲得し勝利を得る可能性が大きくなったと十六日付けエスタード紙が報じた。選挙評議委員会(CNE)の発表によれば、棄権は三二・九五%で同国の標準を下回ったという。
チャベス大統領はCNEの発表直後「これからはベネズエラ国民のために全生涯を捧げ、〇九年から一九年をボリバル革命第三期とし、ベネズエラを覇権国家に育てる」と声明を発表した。
〇七年の国民投票で敗れたのは、コロンビアの人質解放に熱中し国内問題を疎かにしたためと弁解。二期政権の制限を排除したいま、ベネズエラ憲法に基づいたドクトリンを創りラテン・アメリカの旗頭を引き受ける所存であると公言した。
一方、野党は与党が「チャベス勝利」の捏造データをばら撒いて、人心撹乱を図ったことを非難した。ブラジルから派遣された選挙監視委員も、ベネズエラの物々しい武装選挙に驚いた。政府機関を選挙の道具にする与党の露骨な運動は、ブラジルの比ではない。
ベネズエラ経済は金融危機の影響を受けて、ひっ迫している。昨年の原油価格は、平均バレル当たり八十八ドルであった。いまは三十五ドルへ暴落し、原油収入は半減。インフレは、ラテン・アメリカ最大の三一・九%。今年は三五%へ達する見込み。
チャベス大統領は、オバマ政権が軌道に乗る前に対米関係を改善するように、ルーラ大統領が進言したことで関心を持ち始めた。同大統領も、クリントン元大統領時代の米ベネズエラ関係に戻したいと考えている。
同大統領は、トリニダード・トバゴで四月に開催される米州首脳会議でオバマ米大統領と関係修復を話し合うようだ。