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金次郎像で日伯交流深め=レジストロで尊徳セミナー=3市で訪伯団一行を歓迎

ニッケイ新聞 2009年2月17日付け

 八日にサンパウロ市の神奈川文化援護協会会館で挙行された二宮金次郎像の除幕式に出席した神奈川県知事室長・鴻谷正博氏を団長とする日本からの訪問団一行は、その日の夕方、沿岸部のレジストロ文化協会会館を訪れ、報徳博物館の草山昭館長による二宮金次郎の生き方や尊徳思想に関するセミナーが行われ、ビデオも放映された。
 会場には、訪伯団十一人、サンパウロ市の神奈川文化援護協会の村田博会長以下十人の同行者、レジストロ文協の清水ルーベンス会長、聖南西文化体育連盟会長兼リベイラ沿岸日系団体連合会の山村敏明会長、レジストロ市長のサンドラ・ケネデイ氏、カジャチ市長の古賀ルイス・エンリッケ氏、セッテ・バラス市長の宮下ニウセ氏、ジャクピランガ市長のジョアン・バチスタ・アンドラーデ氏、石田豊ジャクピランガ文協会長、斉藤咲男ジャクピタランガ及びパリケーラスブラジル日本移民百周年祭実行委員長、大場貞夫パリケーラス文協会長他約七十人が参加した。
 セミナー後、夕食会が和やかに行われた。母県の訪問団には二宮尊徳の五代目、玄孫の二宮精三さんの姿があった。長身で白髪、物静か、どこか二宮尊徳翁の雰囲気を漂わせる好紳士であった。
 訪伯団とサンパウロ市の同行者総勢二十二人は地元の同伴者と共に九日早朝レジストロを出発、パリケーラス市を訪れ、毎年五月に行われる国際民族祭り会場に設置されている金次郎像を訪れた。
 パリケーラス市長のジウド・ヴァッチ氏は訪問団を歓迎し感謝の言葉を述べ、日本移民と子孫のブラジル発展への貢献を称えた。鴻谷団長は「私達の訪問目的は、二宮金次郎像の落成と尊徳翁の教えを広め日伯の文化交流をより深める事でした。それが今日除幕した、私達の訪問記念プレートに同じことが刻まれてあり、お互いの考えが一致していることに深く感動しております」と挨拶した。
 続いてジャクピランガ市に向かい、国道116号線の陸橋近くに〇八年に設置した二宮金次郎像を訪れた。ジョアン・バチスタ・アンドラーデ同市長が訪問団に対し歓迎の言葉を述べた。
 パリケーラス同様、団長からアンドラーデ市長に二宮尊徳の「報徳訓」と翁の絵、金次郎像のミニチュアが渡された。
 一行はコロネル・ミゲル・アブ・ヤギ州立小中学校を訪問。そこで、二宮金次郎像の落成式の模様や、昨年同校が参加した「ヴィーヴァ・ジャポン」の活動を撮影したDVDを観たり、日本の昔話に関する生徒のレポートを見たりした。
 レジナ・セリア校長は「今年から、私たちはプロジェクト二宮金次郎に取り組みたい。そして、この学校と小田原市の同規模の学校とインターネットを通じて生徒達の交流を実現したいと思います」と語った。
 草山昭館長は「日本人は良く働くといわれますが、ブラジル人も良く働き二宮尊徳の精神が通じている様に感じました。そして緑の多いブラジルは素晴らしい国だと思いました。環境問題にも深い関心がある様に見受けられました」と三日間の感想を述べた。
 小田原市教育委員会の課長補佐、古矢智子さんは「ブラジルは遠くて一生に一度しか来れない国だと思っていましたが、また何時か来たい、それが実現出来るように感じています」と語った。
 一行は地元の人達と正午、ペトロペン・レストランで昼食を共にした。僅か二日間一緒に行動しただけなのに、お互いに旧知の友人の様に心が通じ合っていた。
 「日本に来たら是非寄って下さい。また、ブラジルに来て下さい」と言葉を交わしながら別れを告げ、一行は午後一時三十分貸切バスでサンパウロへ向かい、同日夜、帰路についた。(金子国栄さん通信)