ニッケイ新聞 2009年2月17日付け
鹿児島の西北にあり東シナ海に面した阿久根市という小さな町がある。よほど地理に詳しくないと、一般的には知らない人が多い。半漁半農の小都市ながら今はー市長と議会の対立が激化して話題になり、ちょっとした人気?も生まれ騒々しくも賑やかなのだ。この2月の調査で市民は端から端まで数えて2万4千と356人▼ここの市長は、竹原信一さん。昨年、初当選の49歳。市会議員の削減を主張するなどの改革派らしい。ところが市議らは猛反対。市長はブログに市議の実名を乗せ不人気投票をしたものだから市議らの怒りは頂点に達し、出席15市議(1人欠席)の全会一致で市長不信任案を可決してしまった▼市長さんも黙って引っ込んでいるような人物ではない。不信任案の可決を歓迎しますーと市議会の解散を求めたので3月22日の投開票となったが、これだけは箱を開けるまでは、どちらが勝利とも申しかねる。もし、市議らが勝ち、再度―不信任案が可決されると、市長の解散権はなくなり自働的に失職し、もう一度ー市長選となるのだが、果たしてどうなることやら?▼同じような例は、米空軍の問題で大揺れに揺れた山口県岩国市でも起こり、基地反対の狼煙を上げていた旧市長が敗れ、賛成派が堂々の勝ち名乗りを上げたの記憶は新しい。さて薩摩半島の「政争」に決着がつくまであと40日ばかり。いや、もう一度の市長選もあるかもしれないのだから、これも計算にいれるとー30年戦争とは言わないが、これはもうかなり長い「抗争」になりそうな気配もする。 (遯)