ゼロ・グラウ作戦=冷凍カルテルを摘発=米多国籍主犯の国際組織
ニッケイ新聞 2009年2月20日付け
密封式冷凍コンプレッサーの製造販売で十年にわたりカルテルを結成していたとして、ワールプールやエルジン、ACC、ダンフォスなどが十八日、法務省経済局とサンパウロ州検察局によって告発されたと十九日付けエスタード紙が報じた。同カルテルは国家経済に、七億レアルの損害をもたらしたという。
連邦警察によれば、カルテルの総本部は米国と見ている。カルテルは、世界市場に縄張りを設け価格を協定した。カルテルは、ブラジルや欧米各国の高官を抱きこんだ。国内の製造工場がサンパウロ市やサンカルロス、ジョインビーレにあるほか、米国やイタリア、デンマークにも工場を有する。
現在コンプレッサーは年間、千万基を冷蔵庫用に使う。価格は七十レアルから八百レアル。コンプレッサーは、ヘリウム・ガスを液化し冷蔵庫やフリーザー、空調機、冷凍倉庫などに使う。コンプレッサーの価格が冷凍装置の三五%を占めるほど重要な部品だ。
連警はゼロ・グラウ作戦と称し、カルテルを内偵していた。カルテルの伯本部はサンパウロ市ジャルジン・パウリスターノ区アルトゥール・ラモス街、バストス前法相が住むアパートの上階、ワールプールのパウロ・ペリキ社長宅にあった。
同社長宅から価格協定を指示する文書などが押収された。さらに連警は、カルテルに参加した企業の社長宅で一斉に家宅捜索を行った。
カルテルの漏洩は、旧メンバーの裏切りで発覚したようだ。同社は当局への捜査協力で、カルテル構築罪は免れる。
コンプレッサー・メーカーのエンブラッコは、ワールプールの子会社だ。このエンブラッコは、コンプレッサー市場で二二%のシェアを占め、ほぼ世界市場を支配している。
エンブラッコは一九七一年に創業し、コンスルやプロスドシモを販売。一九七六年、ブラステンピと合併。一九七七年、米国のワールプールに買収された。