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クレジット=配分の偏りで消費に赤信号=大企業に資金集中=政府の緊急対策が不発に=中銀、銀行協会が認める

ニッケイ新聞 2009年2月24日付け

 中央銀行とFebraban(全国銀行協会)は二十一日、「国内のクレジット事情は好転したものの、大手企業に大部分が集中し、商業や個人などの消費市場に届いていない」ことをエスタード紙の問い合わせに答える形で明らかにし、同二十二日付けがそれを報じた。これまで欧米の国際金融で資金調達を行っていた大企業が、国内の流通量を総なめにしている。その影響を顕著に受けたのが、自動車や家電製品などの耐久消費財。全国商業連盟(CNC)のカルロス・タデス・デ・フレイタス会長は同部門の成長率は「昨年九・一%であったが、今年は三~四%に留まる」と悲観的な見込みを発表している。

 中銀や全国銀行協会の努力に関わらず、クレジットの配分が悪く、期待した消費の伸びは損なわれた。中銀は金融危機に入る前の水準までクレジットを注入したが、全国銀行協会のファビオ・バルボーザ会長は「ヴァーレやペトロブラスなど大企業が一歩先に横取りした」と同紙の取材で明らかにした。
 〇九年消費市場の売り上げが、全くさえない。クレジット供与に好転の兆しが見えない。辛うじて消費市場の落ち込みを救ったのは、最低賃金の調整による食品と衣料、靴など非耐久消費財の活況のみであった。
 流通量緩和のため政府がBNDES経由で投じた一千億レアルは、大手にパクリ。小口ローンの商店などは、相手にされていない。都市銀行が中小企業を避け、大企業を優先している。
 中銀と全国銀行協会は、金融危機対策が効を奏さず、市場は未だ資金枯渇状態にあることを認めた。流通枯渇に対し政府は、外貨準備切り崩しによるドル建て債務の更新と輸出金融の二方策を打ち出した。
 しかし、この対策は期待した効果がなかったし、都市銀行も貸し渋った。これを見て政府は急遽、対策の変換を迫られた。都市銀行は中小銀行への円滑な融資を行うために、強制積立金と金融税(IOF)の全面廃止を提案した。
 それにしてもクレジットは、今年の第2四半期までに対策を講じて四%経済成長を達成する必要がある。金融危機を乗り切るため画期的クレジット政策を、全国銀行協会が求めている。
 いまファクタリング(他人が有する売掛債権を買い取って、その債権の回収を行う金融サービスを指す=フリー百科事典『ウィキペディア』)が、溺れる者のワラとなっている。運転資金がないため、黒字倒産の憂き目に遭いそうな企業が続出。普段は白い目で見られるファクタリングだが、手形の割引や先付け小切手の攻勢を受けている。これはクレジットと呼べるものではないが、金融市場の異常事態といえる。