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臨時採用教員多いサンパウロ州=全国の3分の1擁し3位=計画立案困難で関係稀薄化

ニッケイ新聞 2009年2月24日付け

 突然解雇の不安は、金融危機下の労働者なら共通のものだが、採用時からいつでも解雇の可能性がある人達もいる。
 最近サンパウロ州で問題となった臨時採用教員(以下、臨時教員)もその一つで、校長や教頭などの役職者や産休教員の替わりであるため、本採用の教員復職で解雇となる。
 サンパウロ州での問題は、教育局が行った臨時教員の採用試験に教員組合が異議を唱え、無試験の教員も採用せよとの判決が出たため。州立校の授業開始も五日間遅れたが、二十日伯字紙は、臨時採用率の高い三州の臨時教員採用は無試験と報じた。
 臨時教員多用は、ミナス州で五三・五%、マット・グロッソ州で四八・八%、サンパウロ州でも四七・八%が臨時教員だ。サンパウロ州では、教員総数も二一万七九二八人と多いため、臨時教員も一〇万を超え、全国の臨時教員の三分の一に上る。
 二十一日エスタード紙によれば、一~四年生の初等科では五八%が臨時教員。教科別担当となる五年生~高校では四三%だが、州政府の初等科を各自治体に委譲する計画のため、大学卒業以来、本採用試験がなく、ずっと臨時採用の教員もいるなど、事情は複雑だ。
 しかし、教育の鍵を握る教員が常に替わり、一貫した内容や教育レベルが保たれない、現場での長期計画立案が困難、教員と生徒や家族との信頼関係が築けないなどの問題を抱えた州が教育効果を挙げることが難しいのは火を見るよりも明らかだ。一月二十六日付フォーリャ紙には、サンパウロ州は教育関係費をつぎ込んだ割に全国学力テストの成績で他州との差が出ていないとの報道もある。
 もちろん、教育効果の測定法やその差をもたらす要因は、唯一絶対のものがなく、臨時教員の多さだけが相関関係破壊の原因とはいえないが、臨時採用試験で零点だった教員の採用継続は認めないとの裁判所判断も加味されるべき。
 〇九年の臨時教員の件が片付かない内に、教育局が一〇年の臨時教員採用試験は八月実施と発表したが、子供達の将来のためにも、より安定した状態で教鞭をとり、長い目で子供の成長を見守ることの出来る本採用教員を増やしていくための働きかけも必要だ。

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