ニッケイ新聞 2009年2月26日付け
中央銀行は二十四日、自動車ローンの債務不履行が〇八年十二月には全国平均で四・三%に達して〇二年以降最悪の水準となっており、現時点でも銀行が十万台近くを差し押さえていると発表したことを二十五日付けフォーリャ紙が報じた。十万台は、新車の月間平均売り上げ台数の半分に相当する数字。中古車在庫が増えるためローン不足で販売が滞っていた中古車価格の下落に拍車がかかり、新車販売に大きく影響するようだ。サンパウロ市の中古車市場には、在庫が五〇%増えたと競売代理店がいう。
主要銀行の報告によれば、自動車の差し押さえ総額は、昨年初めから金融危機が表面化した九月までに二〇~三〇%増加している。差し押さえ車両の新車価格総額は三十五億六百万レアルと見られる。
差し押さえ手続きは平均三カ月かかるとみられており、一月に差し押さえられた車両が競売に付されるのは四月。昨年末の分が、三月中に大量放出される見込みで、中古車や新車の購買状況に影響を与えそうだ。
自動車を差し押さえられたら、ローンから解放されるわけではない。新車に乗った期間の減価消却や差し押さえ費用を徴収される。自動車は差し押さえ後、競売に付され、ローンの残額支払に充当される。それで残れば、支払済みローンの還付に回される。
ブラデスコの場合、差し押さえ自動車のローン総額は、〇七年十二月の七千六百十万レアルから〇八年十二月は二億七百五十万レアルと三倍になった。ブラジル銀行では、〇七年十二月の差し押さえ額が五十八万四千レアルから、〇八年十二月には二千七十万レアルへと激増した。
銀行としては、差し押さえた自動車を保管する場所がない。狭いところへ無理に押し込んでも接触してキズ物にする。銀行が差し押さえるのは、債務不履行四件のうち一件に過ぎない。自動車販売の回復率と債務不履行増加率は、同率だと自動車販売協会がいう。
差し押さえた十万台は、ローンで売った全国の自動車九百万台の一%強。ただし、販売店協会(Fenabrave)のセルジオ・レゼ会長は「一%強は想定範囲内といえる。見方を変えるなら販売回復と債務不履行、差し押さえが新たなビジネスを生む」と肯定的な意見ももつ。
また車両メーカー銀行協会のルイス・モンテネグロ会長も「債務不履行の全国平均四・三%はまだ経営可能な数字」としつつも、「問題はこの上昇曲線が何時まで続くかだ」と疑問を投げかけた。