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人工池が一気に泥沼化=魚や水鳥の救出作業難航=サンパウロ市アクリマソン公園で

ニッケイ新聞 2009年2月26日付け

 市民の憩いの場として来園者も多いサンパウロ市アクリマソン公園で二十三日午後、公園中央の人工池が五十分で泥沼化と二十四、二十五日付伯字紙が報道。
 三万四千平方メートルの池は魚や水鳥などが住むことでも知られていたが、強い雨が降った二十三日午後四時四十分頃、池の中の排水管基底部が壊れ、上部からのみ流れ出すはずの水七千万立方メートル余が、池の底から一気に抜けたという。
 渦を巻いて流れ出す水に巻き込まれた魚や水鳥もいたようだが、事態に気付いた付近の住民や来園者たちは、魚や水鳥の救出作業に駆けつけた。
 泥に浸かって捕まえた魚をバケツで別の公園の池に移すなど、複数のグループでの救出作業には消防士達も参加。胸や腰まで泥に浸かり諦めた後は板を使ったりした作業の結果、二十八羽の水鳥(エスタード紙では約四十羽)と二百匹以上の魚などが救出された。
 最もドラマチックだったのは、二十四日の池の中央に取り残されたつがいの黒鳥救出で、雄の方は、池の端に近づいたところで捕獲し、イピラプエラ公園に移された。
 一方、雌は泥沼と化した池の中央に留まったまま。徒歩やボートでは接近出来ず、トラックのタイヤ用チューブを使って近づいた男性が泥から救出したが、捕獲直前に羽根を広げ飛び立った雌は再び池の中央に戻り、孤独な夜を過ごした。
 池底ではタイヤなどの他、フェイラ用の車輪付買い物カゴも見つかったが、二十四日に現地を視察したカサビ市長は、設備老朽化が原因との見方。市当局は六週間以内に修復というが、池の排水施設管理は公園管理項目になく、時折行う点検では問題がなかったため、補修作業は七〇年間行われていなかった。
 救出作業に当った住民らは、外部委託の公園管理者は、感染症の危険があるから泥に入るな、閉園時間だから出て行けというだけで何も手伝わなかったともいう。
 洪水防止プールが機能せずサンパウロ市東部は再び洪水など、雨の度に繰返す水害や、外部業者委託事業増加、管理マニュアル不備など、カサビ市政の穴表出の一例だが、緊急工事の名のもと、入札もなく修復工事業者名発表との報道も気掛かりだ。