ニッケイ新聞 2009年2月26日付け
鳥取県が実施する「中堅リーダー交流事業」で来伯した河本弘三さん(44)、富村仁美さん(29)の二人が、帰国前日の十三日に本紙を訪れ、約一週間のブラジル滞在を振り返った。
一年ごとにブラジル県人会と鳥取県が中堅リーダーを派遣する同事業は、今回で六回目。河本さん、富村さんは六日に着聖後、サンパウロ市の松柏学園・大志万学院を訪問。八日に県人会総会に出席後、同県が開設に関わったサンパウロ州ミランドポリスの第二アリアンサ移住地を訪れ、リオでも県人会関係者と交流した。
九四年に県人会との青年交流事業でブラジルを訪れた経験のある河本さんは、「サンパウロもリオも思っていた以上に街が様変わりしていて驚いた」と感想を語る。
松柏・大志万の訪問では、二年前にスキー交流で鳥取を訪れた同校訪日使節団の子供たちとも再会できたという。
今回の訪問の目標として挙げたのは、「県と県人会がきちんとつながれるように関係者と話し合うこと」。滞在を振り返って、「県人会の人たちに親戚のように扱っていただき、感謝している」と話し、帰国後は「民間同士の交流の可能性を模索していきたい」と抱負を語った。
初めてブラジルを訪れた富村さんは、米国の高校に留学していたころブラジルの日系人と交流があり、興味をもっていたことが応募のきっかけだという。
ヨガのインストラクターでもあることから、滞在中、県人会で開かれているヨガ教室にも参加。「言葉の問題はあったけど、いい経験になった」。アリアンサ訪問では「田舎で驚いた」が、「日本人に対して良くしてくれた」と振り返る。
来伯前は県人会の活動を知る機会がなかったという富村さん。「ブラジルを知ることができたのが財産。情報発信が大事だと思った」と話していた。
昨年の同事業で鳥取県を訪れた末永正さんと千田伊藤初美さん、末永由美子さんも共に来社。「鳥取にもう一人ブラジルのファンが増えて良かった」と喜ぶ。本橋幹久県人会長は、同事業の継続に期待を表わすとともに、「おんぶにだっこではなく、ブラジルから母県に対してできることがあれば提案していきたい」と双方向の交流に意欲を見せた。