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カーニバル=アマゾンでサンバ2チーム祝賀=ベレン=入植80周年をテーマに=堤事務局長「ありがたい」=第1回移民船の山車も

ニッケイ新聞 2009年2月26日付け

 日本人アマゾン入植八十周年をサンバで!――。パラー州都ベレンのカーニバルで少なくとも二つのサンバチームが日本文化や入植八十周年をテーマに盛大なパレードを繰り広げた。その一つアビタッチ・ド・ボット(イルカの生息地、G.S.R.E.S. Habitat do Boto)」のカルリーニョ・ヴォッカ・デ・カントール会長(48)は、ニッケイ新聞の電話取材に対し、「我々はパラー州の文化や歴史をテーマにし、それを市民に知ってもらうことのが使命だ。日本移民やその貢献についてまだ知らない人がけっこういる。我々のサンバを通して知ってもらおうと思った」と熱く語った。

 「カラテー、アイキドー、スモウー」。電話の向こうからカルリーニョ会長がテーマ曲を歌う陽気な声が響いてきた。武道名を繰り返し熱唱し、胡椒からジュートなどはもちろん、百周年からアマゾン八十周年への歴史まで織り込んだ歌詞となっている。
 ベレンのサンバ会場アルデイア・アマゾニカで二十日(金曜)夜、上から二番目グルッポ2カテゴリーのサンバチーム「アビタッチ・ド・ボット」が、日本文化や芸術をテーマにしたパレードを行った。
 汎アマゾニア日伯協会の舞踊部からも踊り指導が行われ、隊列の先頭を行くコミッソン・デ・フレンチは、和風の動きを取り入れた独特の舞を見せた。「胡椒」「ジュート」「折り紙」「歌舞伎」「日本舞踊」「凧」などをテーマにした十二隊列に分かれ、約六百八十人が参加した。
 婦人隊列バイアーナは芸者風の衣装で、打楽器隊は侍、旗持ちカップルも日本風で決め、万全を期した体勢で望んだつもりだったが、「残念なことに、パレード開始直前に山車一台が壊れ、入場できなかった」と会長は悔しがる。
 「でも、行進自体は素晴らしかった」と振り返る。創立は九八年と比較的新しい。会長自身がテーマに関して調べて作曲し、プッシャドール(歌手)までこなす八面六臂の活躍ぶりだ。
 翌二十一日には、最上位グループのアカデミコス・ダ・ペドレイラ(ラニルソン・カブラル・ダ・シルバ会長)がサンバ会場を八十周年をテーマにパレードした。こちらの方は在ベレン総領事館や日伯協会に直接の協力依頼がなかったため、「山車に乗る柔道家を紹介するなどの個人的な協力」にとどまったという。
 ジアリオ・ド・パラー十七日付けによれば、同チームはこの二カ月、毎晩会館に集まって練習を重ねたという。三十年近い歴史があり、今回は千二百人が十五隊列に分かれて堂々の行進を繰り広げた。
 各隊列には「漫画やアニメ」「オタクとロリータ」などのユニークなものから「仏陀」「先端技術」の衣装も見られた。
 先頭の山車には金閣寺が、次の山車では、一九二九年に第一回アマゾン移民四十三家族を乗せてアカラ植民地へ向かった「マニラ丸」がモチーフにされるなど、八十周年ならではの演出が存分に織り込まれた。
 汎アマゾニア日伯協会の堤剛太事務局長は「感激ですよ。ブラジル社会からこんなに祝ってもらって有難い。八十周年の盛り上げに心強い見方です」と、一般市民から八十周年を祝福してもらい、実質的なスタートイベントとなったカーニバルを喜んだ。