ニッケイ新聞 2009年2月27日付け
五大銀行は二十五日、不良債権の発生に備え、〇八年第4四半期、さらに七十億レアルの貸倒引当金を調達したと二十六日付けエスタード紙が報じた。これは金融機関が通常、中央銀行の規定で蓄える法定準備金の枠を超え、回収の可能性が低い債権を決済するためもの。引当金増額が最も多いのはイタウー・ウニバンコの三十億二千万レアル。同行のセットゥバル頭取は「金融危機で始まった不確定時代の防衛策」という。国際金融危機はまだ長引き、経済の落ち込みに伴う失業と債務不履行の続出を予想しての知恵という。
五大銀行とは、イタウー・ウニバンコ、伯銀、ブラデスコ、サンタンデル・レアル、連邦貯蓄銀行(カイシャ)。不良債権の引当準備金は、二〇〇九年上半期に予想される危機第二波による債務不履行に備えたと同頭取が述べた。
国際経済は今、〃不確定〃の一語に尽きる。ブラジルの二十行が発表した貸借対照表を調べてみると、十二月末日の貸倒引当金総額は五百五十九億レアル、二〇〇七年同日比で四八・四%増であった。
言い換えれば、国内銀行は二〇〇八年度に、不良債権が増えることを想定し、約六百億レアルを新たに積み立てたことになるが、特に第4四半期は、恐慌を予想しての準備と思われる。これまでの債務不履行の最高記録は、二〇〇二年五月の八・四四%であった。
中銀が二十六日に発表した一月の通貨政策報告書によれば、個人の債務不履行は〇八年十二月の八・一四%が八・三%に増加。中銀は予想範囲内というが、セットゥバル頭取は、この調子では上半期に過去最高を突破すると警告している。
イタウー・ウニバンコは、六十日以上の融資返済遅滞が第3四半期の四・六%から、第4四半期に四・八%へ増えており、債務不履行は二〇〇九年も確実に増えることを示しているという。
ブラデスコが二月二日、発表したところでは九十日以上の個人債務の不履行は、第3四半期の六・六%から第4四半期は六・七%へ。零細小企業が二・四%から二・七%へ。大企業は〇・三%から〇・五%へ。
ただし、伯銀については、十二月現在の九〇日以上の債務不履行は前年比でやや減少しており、貸倒引当金増額は予防的処置だという。