ニッケイ新聞 2009年2月28日付け
メイレーレス総裁がクレジットは金融危機前の八月の水準に戻ったとする発表とは裏腹に、二十六日付けエスタード紙は、中央銀行の最新データにテンデンシア・コンサルタント社などの分析を加え、実際には企業向け新規融資が一月に激減し、〇七年九月以降で最低水準にあると報道した。一月の新規融資額は八百四十五億レアルで前年同月比一一・四%減、前月比二四・八%も激減したという。危機前の八月と比較すると、一月の融資は一三・七%減。個人向け新規融資は微減だが「質が変化」との分析もあり、不透明な動きが強まったといえそうだ。
Iedi(産業開発研究所)は、一月におけるクレジットの落ち込みを社会開発銀行(BNDES)が補填したため、失政は糊塗したと説明。しかし、企業にとって流通不足と年利三一%の金利高は、事実であったといっている。
同コンサルタントは、借金体質の個人や企業が不利な条件で融資を受けると警告した。特にクレジット・カードや特別貸越小切手は、慎重に扱うことが必要だという。
MB経済研究所のジョゼ・M・バーロス氏は、金融危機がこれまで、ブラジルに三回の波となって押し寄せたと見ている。第一波はリーマン破綻による銀行危機であった。ブラジルの銀行は、幸い動揺しなかった。
第二波は、クレジット枯渇。これはブラジルばかりでなく、地域差はあるが国際的な問題となっている。日本やイタリアなどの先進国では、景気後退が歴然としている。
第三波がいま、どうしたらよいか分からないジレンマとなってブラジルを襲っている。中央銀行も遅ればせながら、政策金利の引き下げに同意したようだ。
一方、個人向け新規融資はそれほど下落しなかった。一月に四百九十二億レアルを銀行から融資されたが、前月比で一・六%減、前年同月比で一・八%減にすぎない。ただし、同コンサルタントのブルーノ・ロッシャ氏は、「質の悪い融資に向っている」と分析し、安易にクレジットカードを多用する傾向があるという。
中銀データによれば、個人・企業向け新規融資ともに昨年十一月には激減しており、底を打った状態になった。政府による各種対処を受けて十二月にはともに急上昇したところまでは一緒だが、一月を境に不透明な動きが出てきているようだ。