ニッケイ新聞 2009年3月3日付け
フランスには親日家が多い。シラク前大統領は日本の文化への造詣も深く、マルチーズ種の愛犬を「スモウ」と呼ぶほどの相撲好きであり十数回も訪日している。アメリカにも故・ライシャワー氏(元駐日大使)や昨年、文化勲章に輝いたドナルド・キーン教授という日本文学や歴史に詳しい優れた学者が数え切れないほどいる▼だが、現役の政治家となるとーどうだろう?。それでも日本とアメリカは太い絆で結ばれている。ブッシュからオバマへと政権は代わったが、この日米の基本は守られている。ヒラリー国務長官が初の外国訪問に日本を選び、美智子皇后が宮殿に招き懇談し、国務長官は靖国神社にも参拝している。そしてオバマ大統領は政権発足後最初の外国首脳として麻生首相を招き親しく語り合ってもいる▼この首脳会談はとても大切なものであり、単に日米だけではなくアフガンや北朝鮮など国際政治への影響が極めて大きい。ところが、日本国内の報道や動きは、あまりにも冷たい。民主党の小沢代表は「国民の信頼を失っている首相に有効な外交交渉ができるわけがない」と酷評し「中身はほとんどなかってね」と厳しい。今、政治は混迷してはいるが、外交は別のものであり、やはり意見を纏める努力が必要ではないのか▼民主党は次の総選挙に命運を賭けており全ては「政局絡み」で動いている。政争の多くも、これが原因であり、いささかならず焦りもあるようだが、政権獲得を目指す戦術だけであり、外交はどうでもいいの議論はいかな永田町の政界でも通用はしまい。 (遯)