ニッケイ新聞 2009年3月4日付け
二日に表面化した米国の保険最大手AIG経営危機のような金融混乱が再発し、再び世界経済に動揺が生じた。危機はコントロールされていなかったのかと、多くの人が首をかしげたに違いない。金融システムがグローバル化した現在、統制管理が世界の隅々まで届かない問題が起きている。そこで、エスタード紙三日付けセルソ・ミング氏経済コラムを中心に、世界経済危機の原因と課題を解説してみた。
世界の金融市場はもっとも厳格な規制を適用される業界だ。しかし、危機は再発した。そこで、AIG危機に端を発した新たな金融混乱に関する疑問第一は、規制が欠如しているのか、それとも以前の規制が守られていないだけなのか。ミング氏は「その両方が原因だ」と一刀両断する。
バーゼル金融協定の基準2が順守されていたら、金融危機は避けられたはずだとミング氏は見ている。それが守られていれば、銀行はこれほどいい加減な投機に投資しなかったはずだ。
このような失策を引き起こした原因の一つは、ノン・バンクといわれる投資機関が野放しになっているせいだ。これが予想以上の混乱を引き起こした。これらの投資機関は投資銀行やヘッジ・ファンド、証券会社、不動産ローン会社、クレジット・カード管理会社などだと警告。
破綻したのは、リーマン・ブラザースに続きカーリル・キャピタル、ペロトン、ノータン・ロック、ファニー・メイ、ファニー・マックなど。みな中銀の管理下になかった金融機関ばかりだ。
しかし、ノン・バンクを中銀管理や政府の管理専門機関下に置くだけでは不十分だ。金融システムがグローバル化した現在、一国の中銀や管理機関が、国境を軽々と越えた金融機関の活動をどうコントロールするかが問題だと指摘する。
銀行では最古参の英国ベアリング銀行が一九九五年、破綻した。シンガポールの田舎の片隅にあった支店が、とんでもないことをしたからだ。HSBCは米国で、アイスランド銀行はドイツやオランダで同じような例が世界に多数あるとミング氏がいう。
サルコジ仏大統領やブラウン英首相は、タックス・ヘブンを閉鎖したいと発言している。タックス・ヘブンは、浜の真砂や泥棒と同じで簡単に始末できない。
本国の中銀管理は、世界の片隅まで目が届かない。EU銀行はグローバル管理を行うというが、「手のうち拝見」とミング氏はかまえる。「ブラジルの銀行が中銀でなくIMF管理化に置かれたら、何が起きるか?」と皮肉った。