ニッケイ新聞 2009年3月4日付け
リオ市の新聞O Diaのカメラマン、アンドレ・アレッシャンドレ・アゼヴェード氏が、市北部のブラジル大通りで死亡し反響を呼んでいる。
二月二十七日付伯字紙によれば、事件の発生は二十五日一九時頃。バイシャーダ・フルミネンセの支局を出たアゼヴェード氏は、バイクで帰宅する途中で三発被弾。コントロールを失いガードレールにぶつかった後、対向車線に倒れこんだところを轢かれ即死した。
警察では、被害者の左腕と背中の傷を見て、近くを走っていた運転手とのケンカ、報復、強盗の線で捜査を開始した。
警察が最も可能性が高いと考えたのが強盗説で、二十六日には、現場に近いコルドヴィウで容疑者捜索のための作戦開始。二十七日には、容疑者と見られる麻薬密売者の一人が射殺されるという事態も発生と二十八日エスタード紙が報じた。
現場の大通りでは、事件の数時間前にも四件の車強盗が発生。非番の警官一人が殺害され、新聞社も警察も犯人の割り出しには必死だったが、これが気に入らないのは、麻薬密売者やミリシアと呼ばれる犯行集団。
このような中、一日に起きた、二人の遺体入りの車焼き討ちは、警察の捜査を不快に思う麻薬密売者の命令で、カメラマン襲撃犯が殺され、焼き捨てられたとの情報が住民から寄せられた。
遺体が本当に犯人のものかを確かめる術はないが、二十七日に行われたアゼヴェード氏の葬儀には、同僚達が「いつまで?」と書かれた同氏の写真入りのシャツを着用し参加。父親は、「息子の死が最初でも最後でもないことは悲しいが、彼の死で何かが変わってくれれば」と述べている。
一日付O Dia紙サイトによれば、現場の大通り沿線には五〇以上のファヴェーラがあり、同大通りでの銃の犠牲者は〇七年一月~〇八年十月に二五〇〇人。警備体制も保守作業も不十分で、照明も不足。リオ市への玄関の名に相応しい管理はされていないという。
同大通りでの事件で犠牲者が出る度に胸の痛みを味わう遺族達。麻薬密売やミリシアの問題にカーニバル前の観光客襲撃事件など、観光都市リオが抱える課題はまだまだ山積した状態だ。