ニッケイ新聞 2009年3月4日付け
実に不愉快な一瞬だった。静岡県人会総会後の新年会の昼食で、杉本教雄会長(二世)は記者を横に呼んで、自陣営の解説を始めた。向かいには副渉外理事の原長門氏(二世)が陣取っている。熱しやすい杉本会長は、記者の存在を忘れたかのように、ポ語で原氏に「あいつら(川崎年男氏ら)は、ポ語が分からないから理事会で決まったことも理解できない。だからあんなことを何度も言う」と言語的な欠陥をやり玉に挙げた▼原氏もポ語で「じゃあ、これからもポ語だけしゃべって奴らをエスクルイード(仲間はずれ)しておけばいい」と応じ、掌で円を描くように閉じて何かを盗むような仕草をし、微笑を浮かべた。私は背筋がゾッとした▼一世を憎む二世たちがここにいる。原氏は百周年協会の総務副委員長、事務方の実質的なトップを担ってきた。本来、立場が上であるはずの協会ナンバー2松尾治執行委員長より「偉そう」だと、その筋で有名な御仁だ。このような「一世嫌悪」の空気は百周年協会にも通じる▼対抗シャッパが出そうだという噂により、事前の理事会で急きょ選挙管理規定を作り、完璧なシャッパでなければ受け取らないとの条件を作って選挙対策を練るなど、いわゆる二世陣営の得意とするところだ。文協会長選挙でも、常にこのような手練手管が行使され、敵対勢力は抑え込まれてきた。二世化した団体では、こうした傾向が強まるのだろう▼仮にも日系団体である以上、「日本語しかできない」といういい方で、言語的な欠陥をあげつらう陰口は、会の創立者である一世に対して不当だ。一世二世を問わず人格者を選んで欲しい。 (深)