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アマゾンの伐採大幅減少=それでも3カ月でサンパウロ市半分=先住民保護区は増加傾向

ニッケイ新聞 2009年3月5日付け

 三日付の国立宇宙調査研究院(Inpe)報告書によると、〇八年十一月~〇九年一月の法定アマゾンの森林伐採は七五四・三平方キロで、前年同期比七二・二%減少と四日付伯字紙が報じた。
 それでも、三カ月間にサンパウロ市の半分が失われたことになるが、〇八年八~十月比も六〇%減少で、〇七年十一月~〇八年一月の二五二七平方キロ以降、二月開始の「火の弓作戦」などで減少し始めた伐採に更にブレーキがかかったことになる。
 この減少は、不法な土地所有や書類不備、違法伐採の取締り強化と、違反者への処罰や融資制限などの結果で、景気後退のせいではないと、ミンク環境相。三、四日付エスタード紙によれば、景気悪化が伐採減少となって現れるのは四月以降というのが同相の考えだ。
 エスタード紙は、法定アマゾンの七六%(〇七~〇八年は六九%)が雲に覆われており、伐採面積はもっと広い可能性があるとしているが、環境相は、両年とも雲で覆われた地域は広く、減少傾向そのものは間違いないと、喜びを隠さない。
 今回の発表で伐採面積が広いのは、パラー州三一八・七平方キロやマット・グロッソ州(以下、MT)二七二・三平方キロなどだが、気掛かりなのは、全体の伐採面積は減少しても、先住民保護区での伐採は、〇八年十一月~〇九年一月に七〇・四二平方キロを記録し、前年同期の九%増とのフォーリャ紙の報道。
 四保護区内一五地点での伐採が、州内二二七地点での伐採の一七%を占めるMTを筆頭に、四州一一保護区での伐採は法定アマゾン全域の伐採面積の九%。これらの保護区での伐採は先住民によるものではなく、古くからある農園内で畑や牧場を広げるため、伐採や焼失が起きているという。
 また、エスタード紙は、伐採地点は国道一六三や国道三六四に沿った地域に集中していると指摘。伐採した木や製材した板、炭などの搬出が容易な所で伐採が進み易いことを示している。
 環境相は、違法伐採ゼロを目指し監査のための職員や兵士を千人ずつ増員とも発言。ルーラ大統領の土地所有合法化案の対象を絞り込もうとするマリーナ前環境相の努力も含め、総体的な取組みの継続が待たれている。