ニッケイ新聞 2009年3月7日付け
政府は五日、公約の空港民営化と空港業務公団(インフラエロ)の株式公開を断念と六日付けエスタード紙が報じた。国内六十七空港の業務管理を行うインフラエロの機構改革に関する、社会開発銀行(BNDES)依頼の専門家調査で、民営化と株公開が、二〇一〇年の大統領選に重なることが判明。金融危機で資金入手難の折、不確定要因の増幅は不利であるとBNDES総裁が判断した。ジョビン国防相は再々、空港民営化を促したが今回は退けられたらしい。
空港トラブルの解消で、空港民営化は注目の的であった。国防相はAnac(民間航空庁)とともに民営化の準備を急いだ。国防相の見解は、公式決定であるにも関わらず公約は却下された。
インフラエロの株式公開は、二年前から検討された。その結果、民営化の時期は来年五月、ちょうど大統領選たけなわで、金融危機で資金調達が困難な時期とも重複することが判明した。
ジョビン国防相とカブラル・リオ州知事は、ガレオン空港とヴィラコッポス空港の民営化を急いでいたが、先延べになった。またサンパウロ市に建設予定の第三新空港も延期となり、空港管理トラブルは第一幕を終えた。
それでも国防相は、ガレオンとヴィラコッポスの両空港が法律上、インフラエロの業務管理圏にないことで今年中の民営化が可能であり、Anacも計画実施の意向であることを強調した。
「空港業務公団の民営化はない」と我が意を得たように構えているのは、インフラエロ総裁のクレオニウソン・ニカーシオ将軍。「あるとすれば株式公開で、ずっと先の話」だという。
インフラエロは立派に機能しており、機構改革を行うなら多角経営の共同企業形態への段階的発展だとしている。空港民営化は、公営化反対派から出た単なる提案に過ぎないと国防相の民営化構想に水を差した。
空港民営化にはAnacが、積極的に参加していた。リオ州検察局はAnacのサントス・ドゥモン空港の国内便発着数を増加する決定で、その効果を分析する委員会を立ち上げた。
航空機の発着数が増えれば、騒音や付近の交通渋滞も増大する。そのためリオ市は空港と連結する幹線道路を大幅に交通整理し、乗用車の乗り入れを制限する。
カブラル・リオ州知事の考えでは、二〇一四年に決定しているブラジルW杯サッカーと、二〇一六年に立候補している五輪のために、サントス・ドゥモン空港とガレオン空港を国内便と国際便に使い分ける。一方では、今年期限切れの環境庁許可更新というハードルもある。