ニッケイ新聞 2009年3月7日付け
国際協力機構(JICA、緒方貞子理事長)は現在、日本国内で雇用や教育の問題を抱える日系人に対し、短期間ながら支援を行っていく方針を決めた。
今年一月に内閣府が設置した「定住外国人施策推進室」が取りまとめた『定住外国人支援に関する当面の対策について』で「関係省庁が連携した地域における支援を進める」(内閣府HP)としたことを受けたもの。
具体的には、すでに行っている「日系人本邦就労者生活相談業務」の拡充として、地方にある約四十の外国人相談所に日系人失業者を雇い入れ、対応強化を図る。期間は〇九年三月一日から五月三十一日まで。
教育問題に関しては、自治体や地域国際化協会、NPOなどが開く日本語講座に、元JICAボランティアを派遣。すでに愛知県半田市の半田国際交流協会に、〇九年三月から六カ月間の派遣が決まっている。
元ボランティアによる日系人対象の社会還元活動の促進として、再就職のための日本語講座、児童を対象にした日本語研修や補修講座へのサポート活動を行う。
愛知県西尾市の「日系人支援日本語学習教室」、愛知県稲沢市の「日系人のための日本語クラス」、三重県伊賀市(伊賀ふれあいプラザ)の「仕事のための日本語講座」への支援となる。期間は、〇九年二月下旬から六カ月間。
ブラジル政府が計画中のブラジル人学校教員を対象とした「教員養成プログラム」への協力を行う。すでにブラジル政府と協議を始めており、JICA中部の施設などを一部無償で提供することが決定している。期間は、〇九年六月から五年間を予定。
介護業界での雇用拡大のため、日系人に対し、技術研修を行うことも検討されており、介護の仕事に関心を持つ日系人三十人に約四カ月程度、日本語研修や養成期間での研修、インターン実習を行う。
当面の生計確保だけでなく、帰国後の就労促進にも繋がる支援となることを見込む。
JICAサンパウロ支所の千坂平通支所長は、「短期間の支援だが、現時点でJICAができる範囲」と説明する。
「支援の継続に関しては全く未定。大量帰国も予想されており、事態の推移を見守っていかなければならない」と話している。