ニッケイ新聞 2009年3月7日付け
昭電疑獄やロッキード事件と政治とカネの汚職は尽きない。取り分け終戦直後の昭和23年に起きた昭電疑獄は、西尾末広副総理、福田赳夫(大蔵省主計局長)らが逮捕、検挙され芦田均内閣が総辞職に追い込まれる事件だったし、ロッキードでは田中角栄元首相ら政治と実業界の悪しき繋がりが浮き彫りになり歴史的なスキャンダルとなった▼今、大騒ぎしている民主党の小沢一郎代表に対する西松建設からの献金も、奥はかなり複雑だしーあるいは一大疑獄に発展しかねない。小沢代表の金庫番で公設秘書の大久保隆規容疑者が逮捕され政界の汚穢が明るみになったのだが、目下のところ、小沢代表には不利な状況が目立ち灰色が濃くなっている▼鳩山幹事長ら執行部は、小沢擁護の方針を固めており、検察陣の不公正を指摘しているけれども、これは筋違いの意見としか申しようがない。小沢代表も記者会見を開き「身の潔白」を強調し、東京地検特捜部の動きが「公正さ欠く」としているが、この主張もおかしいし、国民への説明には遠い▼特捜部は、背後関係を調べるために小沢聴取を検討しており、この事件の奥行きはかなり深い。近く衆院解散と総選挙があり民主党は必勝を期しているが、もし小沢逮捕の事態となれば、民主党の政権獲得の夢は間違いなく潰える。小沢一郎氏の政治資金管理団体「陸山会」についても、以前から不透明さを批判する議論があったし、金権政治家の故金丸信氏から引継いだ西松建設との付き合いが異常な深さなのも決して見落としてはなるまい。 (遯)